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これらの文章は、2002年から2003年の岩手日報コラムに連載されたものです。
今でもとても面白く読めましたので、再掲載しました。  ぜひ、ご一読ください。



第22回 心室性頻脈性不整脈は要注意

岩手医科大学第二内科・循環器医療センター
堀田 一彦


《心室性頻脈性不整脈、は要注意》

心臓は、心房と心室が規則正しく交互に収縮し、血液を送り出しています。頻脈性不整脈は、心房で起こる上室性頻脈性不整脈と心室で起こる心室性頻脈性不整脈に分けられます。

心室から肺や全身に血液が直接送り出されているため、心室性頻脈性不整脈は要注意です。それに比べて、上室性頻脈性不整脈は心臓そのものの働きがひどく弱っていなければ、危険性は少ない不整脈です。

高円宮様の死因とされた「心室細動」は心室性頻脈性不整脈の一種です。心室細動は、心室が小さく非常に早く震えるように興奮してポンプとしての機能が果たせなくなります。

心室細動が続くと、3 - 5秒でめまいが起こり、5 -15秒で失神し、3 - 5分で脳に回復不可能な障害が現れます。

心室頻拍は心室細動ほどではありませんが、命の危険を伴うこともあります。心室細動同様にポンプとして十分に機能しなくなり、めまいや失神、息切れや呼吸困難を引き起こします。

《薬物的治療》

薬での治療が頻脈性不整脈の基本です。いろいろな種類の薬が発売されています。副作用が出なければ長期間服用することができます。

しかし、心臓の収縮力を少し抑える作用があり、心臓そのものの力が弱っている時には、使える薬の種類が限られます。また胎児に影響を及ぼす危険性があるため、妊娠中は服用してはいけません。

三次元の不整脈診断装置による画像

《非薬物的治療》

抗不整脈薬が効かない、あるいは副作用などで薬を使えない場合には、カテーテルアブレーションや埋め込み型除細動器などの非薬物的治療を試みます。

カテーテルアブレーションは、細い管(カテーテル)を血管を通して心臓に入れて、カテーテルの先端から高周波を発生させ、不整脈の原因となっている心臓の筋肉の一部を焼くことで不整脈を根治させるものです。

上室性頻脈性不整脈(WPW症候群、房室結節リエントリ性頻柏、心房頻柏、心房粗動、心房細動)や一部の心室頻拍などに行われ、安全性と有効性が証明されています。

さらに最近では磁場を利用した三次元の不整脈診断装置が登場し、難しい不整脈の解析や根治が可能になってきています。

埋め込み型除細動器は、心室細動や心室頻拍を自動的に検出して治療してくれる機械です。ペースメーカーと同様の方法で鎖骨下に植え込みます。ペースメーカーは徐脈性不整脈治療のために、埋め込み型除細動器は心室性頻脈性不整脈の治療のために使います。

海外での大規模臨床試験では、明らかに埋め込み型除細動器が抗不整脈薬に比べて、心室細動や心室頻拍を起こす患者さんの生命予後を明らかに改善するという結果が出ています。

第22回 掲載:2003年2月18日

当ページは岩手日報社の許可を得て掲載しています。

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