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「心臓と暮らし」タイトル

これらの文章は、2002年から2003年の岩手日報コラムに連載されたものです。
今でもとても面白く読めましたので、再掲載しました。  ぜひ、ご一読ください。



第21回 徐脈性不整脈と徐脈による症状

岩手医科大学第二内科・循環器医療センター
堀田 一彦


《心臓の拍動のしくみ》

心臓は筋肉でできた臓器で、全身に血液を送り出すポンプです。心臓には上下左右の四つの部屋があります。上の部屋が心房、下の部屋が心室です。右の心房に自動的に発電して拍動のリズムをつくる細胞群(洞結節)があります。

その電気が、刺激伝導系という特殊な細胞でできた道筋を通って心臓全体に流れ、心筋を刺激して心房と心室を交互に収縮させます。心房の刺激伝導系と心室の刺激伝導系のつなぎ目を房室結節といい、ここで心房と心室の収縮のタイミングが調節されています。

《徐脈性不整脈と徐脈による症状》

徐脈性不整脈の代表は、洞不全症候群と房室ブロックです。洞不全症候群では、洞結節での発電のリズムが極端に遅くなり、脈拍数が減ります(徐脈)。

房室ブロックは、房室結節で電気の流れが悪くなって徐脈になります。脈が急に遅くなると、脳への血流が減って、めまいやふらつきを感じたり、目の前が真っ暗になったり、ひどくなると気を失って倒れたりします。

また全身への血流が減り、疲れやすくなったり、息切れが出たりします。こんな症状が表れ、脈拍数が少なかったときは、直ちに専門医に診てもらってください。

《ペースメーカによる治療》

房室ブロックや洞不全症候群には、ペースメーカーの植え込みが有効な手段となります。

公共機関では携帯電話機の電源を切りましょう

ペースメーカーは、心拍動のリズムを電池の電気でつくり出す装置です。日本では1年間に約25,000人以上の患者さんがペースメーカーの植え込みを受けています。

植え込みは局所麻酔で行われ、1 - 2時間で終了します。ですから全身麻酔で行われる開胸手術とは違い、大掛かりなものではありません。

鎖骨の下を走る太い静脈からシリコンでコーティングされた細い線(リード線)を心臓の適切な場所に固定し、鎖骨下の皮下にポケットを作って、ペースメーカー本体を入れます。

ペースメーカー本体は約20グラムの小さなものです。電池の寿命は約7年です。ペースメーカー本体は約150万円、リード線は1本約20万円と高価です。

手術料などを含めて総額約250万円となりますが、健康保険に高額医療費を補助する制度があり、負担金は個々で異なります。

《ペースメーカー移植後の生活》

気になるのは退院後の生活ですが、徐脈以外に問題のない心臓であれば、あまり制限はありません。

しかし、外部からの磁力や電気には注意が必要です。電磁調理器、IH炊飯器、高周波・低周波治療器などで影響が出る可能性があり、携帯電話機をペースメーカー本体から22センチ以上離しての使用が必要です。

電車やバスなどの公共機関では、ペースメーカーを植え込んだ患者さんが近くにいるかもしれません。これを考えて、お持ちの携帯電話機の電源を切るようにしてください。

第21回 掲載:2003年2月4日

当ページは岩手日報社の許可を得て掲載しています。

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