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これらの文章は、2002年から2003年の岩手日報コラムに連載されたものです。
今でもとても面白く読めましたので、再掲載しました。  ぜひ、ご一読ください。



第11回 冠動脈疾患の終末像=心筋梗塞が恐ろしい

岩手医科大学第二内科・循環器医療センター
那須 雅孝


《冠動脈疾患の終末像=心筋梗塞が恐ろしい》

心臓を養っている血管(冠動脈)に動脈硬化が起きて冠動脈疾患(虚血性心臓病ともいいます)が発生します。冠動脈疾患の終末像として心筋梗塞症があります。

この疾患の恐ろしい点は、死亡率が高く(一般的には30 - 40%といわれます)、その多くが病院に着く前に急死(突然死)しているところにあります。この疾患から身を守るための検診について考えてみます。

従来の検診では冠危険因子のスクリーニングが行われます。確率的には冠危険因子を持った人に冠動脈硬化が発生しやすいのですが、冠危険因子を持たない人にも急性心筋梗塞は発症しています。

多数の受診者を対象として冠危険因子と冠動脈疾患の関係について確率的な話をすることは可能です。しかし、これまでの検診では、それぞれの受診者にとってどれだけの危険が迫っているかを説明することは困難です。

そこで個人の冠動脈硬化の進行状況を明らかにし、さらに冠動脈狭窄を診断する検診法が必要とされているのです。

《冠動脈硬化や冠動脈狭窄が簡単に分かる最新の診断法》

冠動脈硬化は全身の動脈硬化の一表現型と考えられます。そこで冠動脈硬化と密接な関係を持ち、検査しやすい頚動脈硬化症を調べる検診法として頚動脈エコー法が登場しました。

この方法で頚動脈壁の厚みが増していたり、脂肪を取り込んでできる粥腫(プラーク)が見られたりした時には脳梗塞や心筋梗塞の危険が高いのです。

3次元CT法による冠動脈の描出

さらに最近ではコンピューター断層法(CT)で冠動脈硬化の終末像である石灰化を調べて冠動脈狭窄を診断することも可能です特殊なCT装置が必要ですが、受診者は数秒間、じっとしているだけでいいのです。

冠動脈狭窄を診断するには、体内に管(カテーテル)を挿入して冠動脈を映し出す方法(冠動脈造影法)が必要でした。

最近では受診者に侵襲を加えずに、直接的に冠動脈狭窄を見つけ出すことが可能となっています。体表からの超音波診断法(エコー法)やCT法(写真)、磁気共鳴画像診断法(MRI)などです。

これらの方法を従来の検診法に組み合わせれば、冠動脈硬化の進行状況を個別に知ることができます。

冠動脈疾患の検診の要点は、加齢とともに誰にでも起こる冠動脈硬化があるかないかということではなく、その進行状況を知ることにあるのです。

《急性心筋梗塞症の発症予知》

冠動脈硬化の進行状況が認識されれば、残された大きな問題は心筋梗塞発症の予測です。

一般的に心筋梗塞は、冠動脈が閉塞して発症します。この閉塞は冠動脈狭窄が徐々に進行しながら完成されると考えられやすいのですが、たくさんの患者さんのデータや実験結果はこの考えを否定しています。

冠動脈の閉塞にはプラーークの突然の破裂が関学していることが知られています。真に心筋梗塞の発症を予測し、対策を講じるためにはこのプラークが破裂しやすい状態であることを認識する必要があります。

ところが、こうして発症する心筋梗塞症を正確に予測することは、冠動脈に狭窄がある狭心症の患者さんでさえも困難であるというのが現在の医療の実力です。

しかし、医学や医療技術の革新は最新の磁気共鳴(MR)装置などによってこの不安定なプラークの検出を可能としつつあり、近い将来に心筋梗塞の発症を予防できる時代が来るものと思います。

第11回 掲載:2002年11月19日

当ページは岩手日報社の許可を得て掲載しています。

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