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これらの文章は、2002年から2003年の岩手日報コラムに連載されたものです。
今でもとても面白く読めましたので、再掲載しました。 ぜひ、ご一読ください。
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第18回 心筋炎の原因は ”かぜ”岩手医科大学第二内科・循環器医療センター 《心筋炎の原因は”かぜ”》心筋炎とは、�狄澗，�風邪をひいた状態″を言います。心筋炎の大半はウイルスによる感染で生じます。その代表的ウイルスには、エンテロウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどがあります。 これらのウイルスは、”かぜ”の原因となるウイルスと同じです。心筋炎は、子どもから大人まで幅広い年齢層で発症します。 私たちの研究でも、エンテロウイルス遺伝子とそのタンパクが心筋炎の50％で検出され、心筋炎の心臓でエンテロウイルスが増殖していることを証明しました。 症状は多種多様心筋炎の典型的症状は、かぜ症状（発熱、咳、腹痛など）に続いて、胸痛、呼吸困難、動悸などが現れます。しかし、劇症型心筋炎といわれる心筋炎では、ショック、心不全、あるいは突然死を引き起こすこともあります。 心筋炎の多くは、発症後2 - 4週間で完全に治りますが、約1割の患者さんは発症後1週間以内に死に至るといわれています。これは心筋梗塞症の院内死亡率と同じです。 また、数年 - 数十年もの長期にわたりウイルスが心臓に感染し、何度も心筋炎を繰り返すと、拡張型心筋症（心臓の収縮力が弱くなり、心臓が大きくなる病気）になることもあります。 私たちの施設でも、数年にわたりウイルス遺伝子が心筋内に存在し、心筋炎から拡張型心筋症となった患者さんがいます。このように心筋炎は無症状や軽いかぜ症状で終わるケースから劇症型心筋炎のように死に至るケースまでさまざまあり、油断できない病気です。 ですから発熱、咳などのかぜ症状に続いて胸痛、動悸、脈の乱れ、息切れが現れたら、心筋炎を疑い専門医に相談することが大切です。心筋炎の予防には、うがいなどのかぜの予防が大切です。 
心筋炎の治療は心筋炎を引き起こすウイルスは厄介な病原体です。心臓に感染すると細胞の核（細胞の機能をつかさどる司令塔）の中に侵入し、その中でウイルスの分身を作ります。 その分身は、細胞の核へも侵入し、細胞や臓器を次々と破壊していきます。今の医学では一部のウイルスを除いて、特効薬はありません。 体内に侵入したウイルスを撃退するには、人間の免疫能力（白血球などが担う病原体に対する防御機能）が大切です。 このため心筋炎の治療は、入院による安静、酸索吸入、点滴、心電図モニター管理などを行い、免疫能力を発揮できる環境を整えることが必要となります。 劇症型心筋炎となりショック、心不全など致死的な場合には、補助循環法（経皮的心肺補助、大動脈バルーンパンピング、補助人工心臓）を行い、弱った心臓の機能をサポートします。当施設でも年間1、2人の息垂さんが、この補助循環法で救命されています。 将来の治療私たちの研究によって心筋炎の患者さんは、病原体に対する免疫能力が障害されていることが明らかになってきました。 最近では免疫賦活薬や免疫グロブリン、遺伝子治療によって免疫能力を高める治療が、新たな治療法として注目されています。この治療法はまだ確立されていませんが、さらに研究が進めば新たな治療として確立される日がくると思われます。 第18回 掲載：2003年1月14日 当ページは岩手日報社の許可を得て掲載しています。 |
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