8 サンタクロースもAED
一般市民が除細動することで救命率が劇的に改善しているため、突然心停止の3/4が発生している自宅にAEDを常備できたら、もっと救命率が上昇するのではないか、とは誰もが考えると思います。 (図4)
実際、「心臓病による死亡率を低減させるには、予防が最良なことは明らかだが、自宅のソファの下にAEDがあれば、運動したり、禁煙したり、血圧管理をしたりする必要はないのではなかろうか」という極端な意見もあるくらいです11)。
2002年11月、アメリカでは食品医薬品局(FDA)が自宅用AEDを承認したことにより、自宅にAEDを常備でき、家族による5分以内の除細動が実現可能となったのです。
そのときの価格は3,000ドルでした。
日本円にして30数万円。AEDは5年間持ちますから、1年間で6万円、月々5,000円でしょうか。
これが高いかどうかは価値基準次第なのですが、皆さんは生命保険に月々いくらお支払いでしょう。
「1日当たりたったの134円」という生命保険のコマーシャルが放映されています。
1日当たり167円とすると月々5,000円で年間6万円、5年間で30万円ということになります。
どちらも生命が脅かされたときに必要になるものです。
ましてAEDは命を救ってくれます。
その年の暮れのクリスマスには自分の夫や妻や両親へAEDをプレゼントするために購入する人が多かったのです。
つまり、サンタクロースがAEDを持ってきたのです。
現在、アメリカでは、AEDが一般の家電量販店で売られています。
日本でいうヨドバシカメラやコジマ電気やケーズデンキやさくらやでAEDが売られているのです。
自動血圧計の隣で売られているのです。
インターネットでも売られています。
当初、3,000ドルだったものが、現在の流通価格は1,500ドルを下回っているのです。