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メディカルレビュー社
わが国の循環器救急医療の現状と2010年蘇生に関する国際ガイドラインの展望 番外編


行政への働きかけは重要・・・でも、今後の課題ですね


菊地

行政への働きかけも重要だと思います。

野々木

何か方法がありますか?

菊地

いや、方法は全く・・・。

日本内科学会の会長講演で 「 『脳卒中対策基本法』 を制定させたい」 と言っていて、心臓部門は先を越されてしまったとガッカリしちゃいました。「急性心筋梗塞対策基本法」か何かを作らないと・・・もう本当に・・・勝ち負けじゃないけど、循環器は負けていますよね。

野々木

うん、そうね。これはね、まず  「がん対策基本法」 でしょう。癌はもう完全にいろいろな方策で予算がかなりついている。次いで脳卒中。これはやはり脳卒中の人が国会議員の中にいて、国会議員の中で議員立法化しようだとか、そういう動きがあったのですよ。脳卒中はすごくわかるではないですか。ところが心臓はわからないですね。心臓に関してはみな隠すでしょう。国会議員が動いてくれないのですよ。

菊地

日本循環器学会としてはエビデンスを出していますけれども、行政に向かってアピールが足りないですよね。

野々木

確かに、行政に対してロビー活動が不十分ですね。ロビー活動をちゃんとやらないといけない。AHA はロビー活動がものすごいのよ、大統領にいろいろな提言をしたりして。

菊地

データを解析して、こういう結果だからこうしないといけないと提言しているのだと思うのですけれども、日本でそれを行っている人がいないのではないかと思います。

野々木

例えば厚生労働省に医政局指導官という役職の方がいるのですが、そこには循環器系の医師は誰も訪れていない。この間、帝京大学救急医学の坂本先生のグループと一緒に行ったのですが、「循環器の医者が来たのは初めてです」 と言われた。そういう行政のところにほとんど行っていないようですね・・・。

だから、まずは地域の行政から始めたほうがいいと思い、さっきのモバイルテレメディシンを開始する時には、吹田市の市長さんのところに出掛けていって、吹田市をとにかく世界で一番安全な・・・さっきもギネス記録のことで世界一の話が出ていましたけれども・・・ところにしようということで、行政が協力してくれたのです。地方に関しては、「世界でナンバーワン」 とか、「日本で一番」 とか、そういうキーワードに弱いので、そういう話をすれば、何とか行政に持って行きやすいと思いますね。

その、国全体のほうでも確かに何とかしないといけないのですが、直ちに具体的な案はないですが、長尾先生、何かいいアイデアはありますでしょうか。

長尾

やはり誰か循環器の先生が中に入って、中で働かないと、外から言ってもなかなか・・・。

野々木

そうですね。実は医政局指導官というのは救急医学会が送り込んでいるのですよ。そういうことも必要かもしれません。

菊地

そうですね。そういうこともやらないといけないかもしれません。あとは、誰かが議員になるということでしょうか(冗)。

野々木

ふふふ。行政に対するアピールは今後の展望、課題ということで、残しておきましょうか。

大体1時間少々過ぎましたので、これで終わりたいと思います。今日は本当にお忙しいところをありがとうございました。

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  1. はじめに
  2. 残念なことに、20世紀の10大業績にCPRもAEDも挙げられていない
  3. 退院前の心肺蘇生法の講習指導に保険診療点数を
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  12. 行政への働きかけは重要・・・でも、今後の課題ですね