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『ReSS Report 2010』番外編

Session 11 Dr Yonemoto, Naohiro


Yonemoto N et al: The Effect of Time to Bystander Cardiopulmonary Resuscitation on Survival from Out-of-Hospital Cardiac Arrest from All-Japan Utstein Registry Data: A Validation of 3-PHase Sensitive Model. (#260)


―― 先生はJ-PULSE-Hypoにはどのように関わっていらっしゃるのでしょうか。

Yonemoto 私は最初の計画書の作成の段階で関わりました。あとは主にデータマネージメント、クリーニングです。現在は、集計されたデータを個別にチェックし、データの不備や疑問点を洗い出して照会し、改訂してもらうという作業を、実際に先生方にデータを配布する前に行っているのです。

―― 実際、どのような問題があるのでしょうか。ブランクなどがあったりするのですか?

Yonemoto そうですね、入力のためのソフトウエア(アクセス)を先生方にお渡ししているのですが、形式が微妙に揃わない、誤記があるところなどを探して、直していかなければならないのです。

―― J-Pulse-HypoとJCS-ReSSとJ-RCPRの3つのグループがありますが、そのすべてのデータが同じように細かく整理されているわけですね。

Yonemoto J-RCPRとJ-PULSE-Hypoは野々木先生のところで進めていらっしゃいます。手順としては基本的に一緒であると思います。

―― 今回、先生ご自身はJCS-ReSSとして発表されましたが、どのような内容だったのでしょうか。

Yonemoto 虚脱後のバイスタンダーCPR開始までの時間と予後の関係についての検討を行いました。CPR開始までの時間が長くなるほど、良好な予後が期待できなくなりますが、ガイドラインなどで記載されている時間と予後の関係、たとえば除細動を行う時間が5分遅れると生存率や神経学的予後の成績が下がるといったことが、実際にそのとおりであるのかどうか。それを検討するために、JCS-ReSSの数万人のデータを解析してみました。検討の結果、CPRの時間が遅れるほどVFによる心停止後の生存率や良好な神経学的転帰の率が段階的に低下することが示されました。ただ、直線的に低下していくのではなく、1〜5分では緩やかに落ちていくのですが、5分経過すると一挙にがくんと落ち、さらにまたゆるやかに落ちて10分経過すると、大幅に落ちるという、階段上の下降曲線がみられました。Becker先生らが提唱されている3つの相とも符合するように思われます。

―― こうしたことが分かってくると、次の対策を立てやすいということになりますね。

Yonemoto そうですね。もともとBecker先生らの説は、病態生理的にそう言えるのではないかという仮説であって、それを裏付けるデータが存在していたわけではありません。今度の研究は、それを裏付ける形となりました。やはり5分がクリティカルな時間で、次のクリティカルな時間が10分。もちろん早ければ早いほど望ましいのですが、5分ごとがクリティカルな時間帯があることを踏まえておくことは重要であると思います。


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