AEDを使う心肺蘇生法(CPR)ホームページ
Push,Push,Pushは、皆さんへのメッセージです。 J-PULSEホームページ

『ReSS Report 2010』番外編

Session 01 Dr Toh, Masafumi


Relation Between Initial Arterial Blood pH Levels and Neurological Outcomes in Patients Treated with Hypothermia After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: J PULSE Hypo Registry(#133)


―― 先生の今回のご発表の要点を簡単に教えていただけますか。

Toh 心停止を起こした患者さんの予後の予測因子に関しては、すでにさまざまな研究が報告されてきましたが、私たちはJ-PULSE-Hypo Registryのデータを利用し、最初に入手した採血データのなかに予後を規定する因子があるかどうかを後ろ向きに検討しました。まず、臨床因子と採血データから単変量解析により有意なものを抽出し、それらを多重ロジスティック回帰法によって解析したところ、予後の予測因子としては、年齢、発症から自己心拍再開までの時間、pHが統計学的に有意であるとの結果が得られました。

Toh そうですね。血糖値に関しては、単変量では確かに有意差があったのですが、多変量解析を行うと有意性は消失しました。pH以外の因子については、やや難しいかもしれないという印象を受けています。

―― 今回の結果を踏まえて、今後どのような研究の展開が見込まれますか?

Toh この検討を始める前は、予後はreperfusion syndromeを反映しないことから予測が難しいのではないかと考えていたのですが、今回の結果からpHが指標となる可能性が有力になったと言えます。ただ、現段階ではどこをカットオフ値とすべきかという点がはっきりしていないため、今後の課題として、pHの指標としてのカットオフ値を検討していく必要があると考えています。

―― カットオフ値が明確になってくると、たとえば、pH値がある一定のレベルを超えたら、それ以上の処置は行わないほうがよいという考え方になるのでしょうか。

Toh 「行わないほうがよい」というよりも、むしろ今までであれば落としてしまうような症例を逆に拾い上げる因子とみることができると思います。今後低体温療法の適応がさらに拡大していくにつれ、何らかの予測因子が必要になってくることは間違いありません。従来なら、時間が経過しているために不可能と思われていた症例が、実はまだ可能性があることを知るための指標としての有用性が期待されるのではないでしょうか。

―― 確かに大いに期待されるところですね。ありがとうございました。


  • 前へ
  • トップに戻る
  • 次へ