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『ReSS Report 2010』番外編

Session 07 Dr Soga, Taketomo


Soga, T: The Relationship between time interval from Collapse to Return of Spontaneous Circulation and Neurologically Intact Survival for Patients Treated with Hypothermia after Non-ventricular Fibrillation Arrest Out of Hospital: J-Pulse-Hypo Registry.(#285)


―― 今回はどんなことをご発表されたのですか。

Soga 今回は、心停止後の患者さんの低体温療法後の転帰に影響を与える因子として、心臓が停止している時間、脳虚血の時間に注目しました。心停止の時間は、VFに関しては30分以内であれば、低体温療法の効果があると考えられていますが、我々はVF以外の患者さんでも、心停止の時間と予後との関連が認められるのではないかと考え、non-VF群94例、VF群341例を対象としたこの検討を行いました。

―― 主にVF以外の症例を対象にしたわけですね。

Soga そうです。今回、ベースライン時にはnon-VFとVFの患者さんでは明らかな有意差はなく、差があったのはER到着までの時間、ROSCまでの虚脱時間でした。到着までの時間がnon-VFのほうが短いのですが、これはおそらく現場でAEDをかける時間がないためと思われます。転帰に関しては、全体的にみると、non-VF群の社会復帰率は20%台、VF群は60%前後と、やはりnon-VF群では社会復帰率は低い。そこで、ROSCまでの時間が変わるとどうなるかという疑問から、両群のROSCまでの時間を四分位数(quartile)として、17分以内、18~26分、27~40分、41分以上というグループにわけて解析してみました。その結果、17分以内であれば明らかな有意差はないことがわかりました。

―― 時間が短ければ、non-VFでもVFでも差が出ないということですね。

Soga 17分を超えるとnon-VF群では成績が悪くなります。17分以上のグループについて多変量解析を行ったところ、初回心電図、リズム、年齢との関連が示されました。この結果をみますと、時間が17分以内であれば、初回心電図が何であろうと、救命される可能性がかなり高くなることを示唆しています。では、どのくらいの時間が限界なのかという問題になりますが、ROC曲線による解析の結果、25分以内であれば約58%が良好な神経学的転帰を辿ると考えられ、25分がカットオフ値になるとの結論が得られました。

―― 25分以内の心停止であれば、リズムがなんであれ、救命できる可能性があるということですね。

Soga ただ、25分以上経過した場合は適応がないというわけではなく、逆に25分以内であれば、より積極的にやりましょうと考えることが大切であると思います。25分以上経過した症例については、別の観点からの研究課題になると考えています。

―― わかりました。ありがとうございました。


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