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『ReSS Report 2010』番外編

Session 05 Dr Kashiwase, Kazunori


Kashiwase, K et al.: Anemia, High LDH, Hyperglycemia, and Low pH on Admission are associated with Poor Neurological Outcome in Out-of-Hospital Cardiac Arrest Patients treated with Hypothermia Therapy from the Multicenter Hypothermia Registry in Japan: J-PULSE-Hypo Registry (#282)


―― 今日の発表の内容を簡単にまとめていただけますか。

Kashiwase 我々の研究は院外心停止症例で心拍を再開した後の治療としての低体温療法の効果を検討したものです。治療を行った症例のうち、神経学的に経過が良好であった症例とそうでなかった症例の入院時データ、とくに今回は血液検査のデータと血液ガスに注目してデータの解析を行いました。J-PULSE-Hypo Registryのデータから389例を解析対象とし、30日後の神経学的予後をみたところ、回復が良好な群(CPC1, 2)は約57%でした。これらの症例のデータを不良であった群と比較すると、単変量解析では、年齢、目撃の有無、心拍再開、イニシャルリズム(VT/VF)、心拍再開時間、さらに血液検査についても、赤血球数、カリウム、BUN、血糖、LDH、pHなど、ほとんどで有意差が得られたのですが、これらの因子について多変量解析を行った結果、独立した予後予測因子として、年齢、目撃の有無、病院到着前の心拍再開、ヘマトクリット、血糖、LDH、pHが抽出されました。これらのなかの連続変数の項目についてROCで解析を行いますと、年齢、ヘマトクリット、LDH、血糖値、pHということになったのですが、なかでもpHはカットオフ値が7.165で感度71.2%、特異度70.7%となり、指標としてもっとも敏感であることがわかりました。

―― Toh先生もpHが有用であることを発表されていました。やはりpHがカットオフ値としても最も有用ということになりそうですね。

Kashiwase この研究では、主要なすべての血液検査データを含めて解析を行った結果、どうしてもpHが顕著に出てきてしまうという結果でしたので、ほかのデータと比べた場合の有用性はきわめて高いと考えています。最終的にはスコア化していきたいと思っています。感度、特異度は70%程度ですから、やはりほかにも独立した危険因子を明らかにした上でスコア化していく必要があると考えています。

―― 各因子を点数化して、さらに感度、特異度を上げていくということでしょうか。

Kashiwase そうですね。そうした検討が低体温療法の的確な適応を定めるための基準として寄与するのではないかと思います。


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