Sasaoka T: The Details of Individual Cardiovascular Disease in In-Hospital Cardiopulmonary Arrest: From the Japanese Registry of CPR for In-Hospital Cardiac Arrest. (#244)
―― 今回のご発表の要旨を簡単にご説明いただけますか。
Sasaoka この研究は院内発症の心肺停止の患者さんをサブグループで分け、それぞれの予後がどう異なるかを調査したものです。すなわち、虚血性心疾患、冠動脈疾患で入院したACS群、心不全で入院した群、不整脈で入院した群に分けてみると、虚血性心疾患冠動脈で入院した群では、入院後2日以内に心停止を起こす確率が他の群に比べて高いことがわかりました。疾患の重症度にもよりますが、ACSの患者さんはICUに入る率が高く、心不全の患者さんは一般病棟に入る率が高い。目撃された心停止、モニターがついていたかどうかに関しては、心不全の患者さんでは率が低かったことがわかりました。心電図の最初の波形がどうであったかを比較してみますと、不整脈で入院した群は他の2群に比べてVF/VTが高率にみられました。最終的な結果としては、心拍再開率に関しては、不整脈群が他の2群に比べて有意に高く、24時間後の生存率に関しても不整脈群が高いという結果でした。一方、30日後あるいは退院時の生存率に関しては、心不全群が心有意に低く、ACS群と比較してもその傾向が認められました。
―― 心不全の患者さんの予後がもっとも不良という成績ですね。
Sasaoka はい。脳予後についても同様で、心不全の患者さんはほかの群に比べて不良でした。この研究のメッセージとしては、同じ循環器疾患で入院された患者さんでも、心不全の患者さんは比較的予後が不良となる可能性が高いということです。もうひとつは冠動脈疾患の患者さんは入院後2日以内に心停止を起こす率が高いので、その期間はCCUでみる必要があるのではなかと考えています。心不全の患者さんに対してどういうアプローチをとっていくべきかが、このデータから今後の課題として示されていると思います。
―― 対策としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。
Sasaoka 1つは一般病棟に入院中の心不全の患者さんのモニター率を上げることで、救命可能な患者さんの数が増えることになると思います。また一般病棟でも、救命チームをつくって対処できる体制を整えておくことが良好な予後につながるであろうと考えらます。
―― 心不全で入院した患者さんはどのくらいで急変することが多いのですか。
Sasaoka その期間は患者さんによって大きく異なりますので、具体的に急変の時期を予測することはできないと思います。
―― あくまでもモニタリングが大切であるということですね。ありがとうございました。