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『ReSS Report 2010』番外編

Session 04 Dr Higashi, Haruhiko


Higashi, H et al. Survival from In-Hospital Cardiac Arrest during Nights and Weekends from Japanese Registry of CPR (#89)


―― 今回ご発表された研究の内容についてお聞かせください。

Higashi The National Registry of Cardiopulmonary Resuscitation (NRCPR)のデータでは、夜間や週末に起こった院内心停止患者の生存率が低いとされていますが、日本の院内心停止についても同様であるかどうかを検討してみました。

―― 日本のデータをアメリカのデータと比較するために登録したということですね。

Higashi はい。2008年から2009年までの2年間、全国11ヵ所の施設で、夜間に起こった心停止群358例と日中に起こった心停止群133例、それぞれの予後を比較しました。その結果、NRCPRのデータと同様に、やはり夜間に起こった院内心停止では、ROSCに関しても、生存率に関しても、神経学的予後に関しても、日中に起こった群に比べて予後が不良でした。

―― 夜間がよくないというところがアメリカのデータと共通しているのですね。週末についてもみているようですが。

Higashi 週末に関しては、有意差は得られなかったのですが、週末かつ夜間の群では例数がもう少し多ければ、ROSCに関しては有意差が得られたのではないかと思います。

―― アメリカはどうなのでしょうか。

Higashi アメリカでは週末群の予後は不良です。

―― ということは、日本ではアメリカよりも成績が良いということになりますか。

Higashi 成績が良いとまではいえないかもしれませんが、少なくとも週末に関しては有意差が得られませんでした。

―― 日本人は週末も働いているということの反映かもしれませんね。このように心肺停止を起こす患者さんを時間帯ごとに登録し、データを収集することによって、どのようなことがみえてくるとお考えですか。

Higashi 夜間や週末に起こった場合に予後が不良になるということは、やはり目撃される頻度が低い、あるいは発見までの時間が長く、発見された時点ではすでに心静止の状態であるということが多い、ということを示していると思います。具体的にはモニターを付けている患者さんのモニターを監視するマンパワーが不足している。そうしたマンパワーの差が、夜間や週末群では予後が不良であることと関連していると考えられます。

―― モニターを付けていても、心停止が気付かれないことが問題であるとすると、たとえば、看護師の数を増やすなどの対応が必要ということでしょうか。

Higashi そうですね、モニターを付けている患者さんは平日に起こった場合に有意差がなく、夜間に起こった場合に差が表れてくる。これはやはり、発見までに時間がかかっていることが関係しているように思われます。

―― マンパワーの問題は非常に重要ですね。今後はどのようなことが検討課題となるのでしょうか。

Higashi 院内心停止の予後に関する要因は、基礎疾患、入院してからの期間、疾患 の重症度、発生場所などさまざまですが、少なくとも院内で起こった心停止は必ず救 命できるような対策につながる研究を行っていきたいと考えています。

―― ありがとうございました。


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