AEDを使う心肺蘇生法 トップ > いのちをつなぐ 目次 > 第二回 野々木宏先生 > その9 吹田市をモデル地区にして 「胸骨圧迫だけの心肺蘇生法」 講習を始めた。
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野々木 |
やっと日本循環器学会がACLSプロバイダーコースを専門医試験の受験要件にしたけど、AHAの心肺蘇生法の教育って、医療従事者から一般市民向けまで多岐にあるよね。でも、AHAが一番気にしてやってるのは、一般市民への心肺蘇生法の教育じゃない? |
菊地 |
ええ、そうですよね。 |
野々木 |
ところが、今の日本ではどっちかっていうと医療従事者向けでしょ? |
菊地 |
そうなんですね。 |
野々木 |
だから、医療従事者に教育をして、その医療従事者が市民を教えてくれたらいいんだけど、そうじゃないよね? |
菊地 |
そうじゃないです。終わってますもん、そこで。 |
野々木 |
ねえ。 |
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菊地 |
ええ。 「あなたは教えてくれるインストラクター、わたしは教わる受講者」 の関係で終わりですもんね。 |
野々木 |
まあね。 |
菊地 |
そう、どんどんやってほしいのに。自分の事を振り返るとですねぇ、習ったらなんか面白くってですね、教えたかったんですけどねぇ。そういう人、あまりいないのかなあ、とかって思ったりして・・・。 |
野々木 |
うーん。そこをどうすればいいのかっていう・・・。バイスタンダー少ないっていう・・・。だから今も、やろうとしているのは、とにかく一家にひとり誰かがCPRを出来るようにしようっていう。 そういうのが目標じゃない?岩手でもそうだったでしょ? |
菊地 |
はい。 |
野々木 |
でも、なかなか到達しないのよね。だから、そのために今考えているのは、簡略化したやつをやろうと。で、胸骨圧迫だけの心肺蘇生法を、吹田市をモデル地区にして講習始めたじゃない? |
菊地 |
ええ。 |
野々木 |
地域住民に、 「目の前で人が倒れたら、あなたは心肺蘇生しますか?」 ってアンケート調査をしたのね。そしたら、40%の人が 「はい」 って答えてくれたのよ。それでね、 「胸を押す心臓マッサージだけならしますか?」 って聞いたら、 「はい」 って答える人がさらに35%増えるのよ。だからね、胸骨圧迫だけの心肺蘇生法ならね、バイスタンダーCPRが増えるのよ。 |
菊地 |
ええ。岩手で心肺蘇生法のコマーシャルをテレビで流していたときに、バイスタンダーCPRの率が40数%いきましたね・・・。確かに、それがマックスでしたね・・・。なるほど・・・。 |
野々木 |
そうなんよ。簡単にすることで、バイスタンダーCPRが増えるんよ。何もしないで救急車を待っているより良いんやからね。 |
菊地 |
はい。バイスタンダーCPRが70%超えるってスゴイですね・・・。 シアトル越えちゃいますね。 |
野々木 |
あとは、その方法でどれぐらい広がってくれるかやね。保健所の人達とか、母子会の人達に教えた後、「とにかく、今度はあなた達が次の人を教えてください」と。「簡単やから」って話してるのよ。 |
菊地 |
うん。 |
野々木 |
「DVDをちゃんと作ったんで、それを使って見ながら、やってください」 と。ネズミ算的に増えていくと思うんやけど。 |
菊地 |
そうそう。 |
野々木 |
「とにかく、胸を押してください」 と。 |
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第ニ回目は、国立循環器病センターの野々木宏先生にご登場いただきました。
AED
代表的なAEDの機種
※ バイスタンダー
救急現場に居合わせた人(発見者、同伴者等)のことで、適切な処置が出来る人員が到着するまでの間に、救命のための心肺蘇生法等の応急手当を適切に行うことで、救命率を格段に伸ばせる人員のことである。バイスタンダーは、重大または故意の過失がなければ、処置による結果の責任を法的に問われることはない。
※ CPR(心肺蘇生法)
Cardio Pulmonary Resuscitation
呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するために行う呼吸及び循環の補助方法。