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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

昔、救急医学の連中から総スカン食ったからね。
野々木 昔、僕と平盛先生で救急医学会のシンポジウムの座長やったのよね。循環器救急はどうあるべきかという・・・。
でも、救急医学会の連中から総スカン食ったからね。
菊地 えっ、総スカン食ったんですか?
野々木 うん。 「救命救急センターは最後の砦やない」 と。「循環器救急やるんなら、循環器の専門医をちゃんと巻き込んで、救急をやるべきである」と。 「もし脳卒中だとか、心筋梗塞だとかいう救急をやるんだったらね、総合病院をバックにして、救急疾患をとにかくジェネラル(総合的)に診ることができる救急病院をつくらないといけませんよ」 と。
菊地 ええ。
野々木 「現在の救急システムでの、1次救急、2次救急、3次救急という、順次救急では、絶対時間の遅れが生じる」 と。
菊地 うん。
野々木 「患者さんが1次行って、2次行って、3次行って、その間の遅れはどうしてくれるんだ」 と。
菊地 その通りですよね。
野々木 だから、「救急病院をジェネラルホスピタル(総合病院)の救急にしましょう」 と。北米型のERや。
菊地 まず来てくれと。
野々木 そう。まず来てくれと。そこでちゃんとやれば良いじゃないかと。
で、そこにね、総合病院をバックに循環器科医も居たり、外科医も居たり、いろんな医師が控えてて・・・っていうふうにやればいいじゃないかと。
菊地 うん。
野々木 だから、救命救急センターとお高くとまらないで、もう全部診たらどうかと。
菊地 うん、うん。そう思います。
野々木 そしたらね、総スカン食ったんです。
評議員会でも理事の一人が 「心筋梗塞症や脳卒中は三次ではなく、二次救急だ」 なんて明言してもいたらしいよ・・・。
菊地 そうなんだ・・・。
野々木 ところが、今、ER型って言うでしょ? 北米ER型。
菊地 うん。
野々木 今ごろねぇ、そういう方針変えてきたんよ。
菊地 その当時に、テレビ番組 「ER」 があれば、よかったですね(笑)。
野々木 その当時は、総スカンやったよ。
やっと、最近、慶應の堀先生(救急医学会ER検討特別委員会委員長)が北米型ERにするとかって言い出したでしょ?
菊地 はい。お二人は時代を先駆けすぎましたね(笑)。
野々木 そしたら市民にとっても、救命士にとっても、物凄くわかりやすくなったと思うよ。
とにかく地域のね、総合病院のERに全部連れてったらいいわけ、とにかく。
菊地 うーん。それが、国民が求めている、あるべき姿だと思いますね。
野々木 「何でも診てくれます」 っていうところを、地域に1、2箇所つくったら良いのよ。あと、いらないから。
菊地 はい。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第ニ回目は、国立循環器病センターの野々木宏先生にご登場いただきました。

国立循環器病センター全景