AEDを使う心肺蘇生法(CPR)ホームページ
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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

医師法がアカンのやろうね。コメディカルは責任も権限もない、子ども扱いされている。
野々木 うーん。でもねぇ・・・日本は検証してないのよ。
菊地 そう、そうなんですよ。そうなんです。岩手も兵庫も何もないところに種をまいて育ててきたから・・・フロンティア(開拓者)ですからね。難しかったでしょうね。
検証されてないんですよ。残念ですね・・・。やっぱり、僕みたいな人間が引き継いでやっていかなければならなかったんでしょうね・・・。
野々木 ねぇ。
菊地 その点ではですねぇ、僕が「日本人的」だったんですね(笑)。
野々木 ハハハッ(笑)。
菊地 アメリカだったら必ず居ますよね。検証する人作ってますよね。
でも、日本の医学会でEBMを初めて取り上げたのが、先ほどの平盛先生が開催した盛岡での集中治療医学会だったんですよね。
だから、それまでの日本では、臨床的なことを検証するっていうことの重要性について考えもしなかったでしょうねぇ。まして心肺蘇生法のことなんて考えてもいなかったんでしょうね。
野々木 そうねぇ・・・日本では、いまだに心肺蘇生法自体が低く扱われているからねぇ・・・。
EBMという考え方は日本より欧米で早く定着していたからね。だから、検証しないと、評価されない。
菊地 ええ。良くても悪くても、必ずそういう人を作って評価すべきですよね。
野々木 うん。だから、ドクターが全部やろうと思ったら、絶対無理。
菊地 うん。そうですね。そうだと思います。
野々木 だって、AHA見てもね、物凄いやってる人はね、レジスタードナースあるいはリサーチナースで、仕切ってるのはナースなのよ。
菊地 うん。
野々木 ハジンスキーさんって、ILCORのアメリカ代表で、今年3月の日本循環器学会総会に講演に来たでしょ?
菊地 ええ。
野々木 AHAの蘇生教育の親玉のジョー・へイグさんもそうやろ?
菊地 うん。
野々木 みんな、ナースや。
菊地 そうですねぇ。
野々木 ナースが仕切ってるんや。ドクターだけでは、無理、無理。
菊地 うん。そうですね。日本ではそういう教育がされていないからですかね?
野々木 医師法がアカンのやろうね。日本の医師法では、最終責任は全てドクターが取ることになってるんや。
菊地 うん、うん。
野々木 医師の指示のもとに救急救命士もあるしやね、もう全部医師法のもとなんや。
菊地 うん、うん。
野々木 そしたら、責任は全部、医者なんや。
菊地 うん。そう、おかしいですね。
野々木先生と菊地
野々木 アメリカはそうじゃないでしょ? 役割分担をして、それぞれが責任を持つし、それぞれに権限がある。
菊地 ええ。
野々木 だから、救命士もナースもやる事はいっぱいあるけど、責任も取る。
菊地 でも、日本は違う・・・。
野々木 日本では、医師法のもとに行うことになっているから、最終責任は医者が取るということになっている。
だから、誰も何も責任を取らないんや。無責任体制や。
菊地 そうですよね。それこそ、子供扱いですよね、結局は。
野々木 うん。だって、救命士が本気でやるんやったらね、救命士が責任取ったらいいわけよ。
菊地 うん。そうですよ。
野々木 救命士の責任のもとにね、心停止になる前にも治療をしたらいいわけや。
救命士の制度が出来て、心停止になるまで何も出来ないなんて、おかしいよ、絶対。
菊地 うん、そう。
野々木 「心停止待ってるんですか?」 って話になるよ。
菊地 でも、現状では、待ってるんですからねぇ。事前に助けてあげた方がねぇ、どんなに助かるか。
野々木 点滴もとれないし・・・。
心停止の前の重症なショック状態のときに、点滴とれないのよ!
菊地 心停止になったら点滴とれるけど・・・(苦笑)。
野々木 「胸が苦しい」 と訴えているのに、ニトログリセリンの舌下もできない。
菊地 うん。ほんと。
野々木 責任取らないのよ。
菊地 まあ、取らないというか・・・取らないようにしてる、日本ですよね。
野々木 だからね、取らないようにしてるし、取ろうともしないやん?
菊地 ええ。でも・・・取れないんじゃないですか。医師法も含めて、社会保険庁とか、世の中の情勢もそうですから。
野々木 だからねぇ、そういうふうに主張していかないと、なんも出来ないし、変わらないよ。
菊地 ええ。
野々木 だって、ナースとか、何で電気ショック(除細動)が出来ないの?
菊地 いや、出来ないって書いてないですよ。そう読んで解釈しているだけじゃないですか?
野々木 だけど、あれは医師法や。
菊地 いや、でも、診療の補助ですから。
野々木 診療の補助やからね、診療しちゃいかんのよ。
だから、心電図を読んで、自らの判断で除細動してはいかんのよ。医師の指示のもとに、やらなアカンのよ。
菊地 だから、指示があればいいんじゃないですか。事前の指示が・・・。
野々木 包括指示は、ナースの場合はないやん。
菊地 えっ? 包括指示でいいんじゃないですか。事前に文書にしておけば良いんじゃないですか?
野々木 だから・・・無いのよ。包括指示は救命士でやっと超法規的に出来たけど・・・。
菊地 えっ、そうなんですか? ないんですか?
野々木 無いよ。だって、AEDモードのない、マニュアルの除細動器をナースは使えないんだもの。
菊地 いや、そんな・・・。
野々木 だから、出来ないのよ・・・あれは、心電図診断をしないとアカンから。AEDじゃないからね
菊地 え、でも・・・、そんな事・・・。でも、おかしいですね。
野々木 おかしいやろ?
菊地 おかしい。
野々木 おかしいんや、だから!
菊地 ええ。
野々木 だって、アメリカはちょっと行き過ぎてるかもしらんけど・・・。
麻酔ナースだとかね、挿管ナースだとかね、いっぱいある。でも、彼らはちゃんと責任持つわけよ。
菊地 ええ。
野々木 それでトラブルがあったら、その人達の責任。医者の責任じゃないのよ。
ところが、日本はね、そういうコ・メディカルがトラブル起こしたら、最終責任は医者が負わせられる。
菊地 そう。
野々木 監督責任で罰せられるわけや。おかしいやん、そんな。
菊地 国立循環器病センターでナースはIVします?
野々木 IVは、限られた範囲でやってるよ。だけど、その時もやっぱり最終的な責任はドクターや。
菊地 おかしい、おかしいですね。
野々木 ねぇ。甘えがある・・・甘えがね。
菊地 未成熟な社会ですよね。やっぱり甘えてますよね。
野々木 うん、いかんよ。だから、医療崩壊は絶対起こってくる。医者にだけ、こんだけたくさんの責任持たしたら、アカンですよ。
菊地 うん。・・・ほんと。
野々木 だけど、権利だけは、主張するやろ?
菊地 うん。
野々木 「ちゃんと義務を果しなさい。責任を果しなさい」 って感じてるけどね。
菊地 世の中そうですもんね。
野々木 うん。やりたい事があったら、責任はついて回るよね。責任をとらないんだったら、やらないほうがいい。
菊地 うん。何もやらなければ、責任取らなくて良いし、みんながやらなくなりますよね。
野々木 うん。
菊地 ほんとですよ。何にも変わらなくなりますね。進化とか発展とかなくなりますね。
医療がドンドン悪くなりますね・・・。日本全体も悪くなりますね・・・(悲)。
野々木 だからね、主張していこうよ!みんなが自分の責任のもとに本気でやろうよ。
菊地 そうですね、わかりました!
野々木 ねっ。
菊地 引き続きよろしくお願いします(頑)。
シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第ニ回目は、国立循環器病センターの野々木宏先生にご登場いただきました。
 EBM
科学的根拠に基づいた医療
Evidence-Based Medicine
 ILCOR (イルコア)
国際蘇生連絡協議会
International Liaison Committee On Resuscitation
ILCOR事業の概要と交渉
 第71回 日本循環器学会総会  学術集会ホームページ
心停止
心臓が有効な循環を保てなくなっている状態をいいます。脈の触知不能、血圧の測定不能から診断されます。
ニトログリセリンの舌下
狭心症の発作を止める薬の服用方法のひとつです。ニトロ製剤の正しい使い方(循環器病情報サービス)
  救急救命士による除細動包括指示化
指導課長通知(PDF)
医政局長通知(PDF)
コ・メディカル
日本には、診断・治療方針を決定できる医師・歯科医師以外にも医療に携わる職種のスタッフが数多く存在します。
コ・メディカルとは、担当医から指示・指導を受け、もしくはすでに決定した診療方針に沿って相互に連携し業務を行う医療スタッフの総称です。
 IV (静脈注射)