AEDを使う心肺蘇生法 トップ > いのちをつなぐ 目次 > 第二回 野々木宏先生 > その1 野々木先生は国立循環器病センター緊急部部長。
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菊地 |
先生、本日の厚労省研究の班会議はお疲れ様でした。 急性心筋梗塞症も脳梗塞も早期に病院を受診している患者さんって意外に少ないんですね。 そのデータがほとんどないってことにも驚きました。 |
野々木 |
そうやね。 だから、この研究班を上手く進めていきたいんよね。 |
菊地 |
その事に関連もしているんですけど・・・。 J-PULSEについてなんですが、J-PULSEって何でしょうか? 何をしてるんだとか、そのくだりとか・・・。それを一般の人にわかりやすく、広めたいなーと。 「このホームページのトップにJ-PULSEって書いてるけど、これ何なの?」 って、僕の友達からも聞かれますから。 |
野々木 |
ハッハッハ、そうか・・・(苦笑)。 要するに、心肺蘇生法とAEDを一般市民が行うことで、心停止の救命率が上がるということを証明する研究なのよ。 まずは一般市民に、心肺蘇生法とAEDを普及させなアカン。今、それをやっているのよ。 |
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菊地 |
それが、J-PULSE。 |
野々木 |
何の略やったかな?忘れたぞ。 Japanese・・・Population-based ・・・忘れた(笑)。 |
菊地 |
「U」 は何でしたっけ? |
野々木 |
Utstein (ウツタイン)。 |
菊地 |
あっそうだ、ウツタインだ。あっハッハッハ(笑)。 あとは、HP にリンクさせますね(笑)。 |
野々木 |
ハッハッハ(笑)。 |
菊地 |
先生とは、厚労省の班研究に平盛先生と一緒に出席したり、その代理で出席したりして、お会いするようになったと思うんです。 日本循環器学会の心肺蘇生法普及委員会からご一緒させていただいてますし・・・。 すべて平盛先生を通じて親しくさせていただくようになったんですね。 |
野々木 |
僕、兄弟子ね(笑)。 |
菊地 |
先生は、どちらで平盛先生と一緒だったんですか? 国立循環器病センターで一緒に働いたことあるんですか? |
国立循環器病センター |
野々木 |
働いたよ、CCUで。平盛先生が僕を呼んだというか、僕をダマして・・・。 スイスに居る頃に、手紙が来たの。平盛先生から縦書きの手紙が・・・。 |
菊地 |
縦書きですか(笑)・・・。 それ以前に会った事はあったんですか? |
野々木 |
会った事はある。けど、変な人だなと思ってたん。 そんなには、会ったことなかったな・・・。 |
菊地 |
それほどでもなかったのに、手紙が来たんですか? 「是非来ないか」 って。 |
野々木 |
うん。 |
菊地 |
へーっ。何年ぐらい働いたんですか? |
野々木 |
平盛先生と、2年か3年じゃない? それで、岩手医大の教授になって、いなくなったのね。 |
菊地 |
「あと、よろしく」 と。 |
野々木 |
「よろしく」 という感じだったねぇ(笑)。 |
菊地 |
ハハハッ(笑)。でも、平盛先生のことですから、自分で作った診療チーム全員を入れ替えて、自分も辞めたんでしょうね。それで、先生にその後を任せることにしたんでしょうね。 あれっ? 今、先生の肩書きは平盛先生のその頃の肩書きとは違いますよね? |
野々木 |
うん。違う。 僕の肩書きは 「緊急部」 の部長なんやね。 |
菊地 |
「緊急心血管治療」 ? |
野々木 |
「緊急部」 や。 「緊急部」 ってのは実体が無かったのよ。 |
菊地 |
無かったんですか? |
野々木 |
それを何とか実体があるようにしたみたい。 それまでは、あまり大した救急やってなかったからね。 |
菊地 |
CCUとはまた別ですよね? |
野々木 |
CCUも含んだ形になる。 |
菊地 |
CCUと、その窓口っていう感じ? |
野々木 |
そう。1階に救急車が来る救急の窓口をちゃんと作って、で、その横に救急病棟をちゃんと作って・・・前は4階やったんよ。 |
菊地 |
えっ、何がですか? |
野々木 |
緊急病棟っていうのが、4階にあった。 |
菊地 |
救急車が入るところが? |
野々木 |
違う違う。救急車が来てから入院するところが4階だったんよ。 |
菊地 |
あれっ? CCUは2階ですよね。 CCUに入らない救急が4階だったんですか? それは一般病棟っていう意味ですか? |
野々木 |
一般病棟に毛が生えたような、要するに、一般病棟とCCUの中間的な・・・。 |
菊地 |
ふーん。 |
野々木 |
でも、それでは機能しないからね。 それを1階に持っていって緊急の外来と病棟をドッキングして・・・。 |
菊地 |
今、1階に病棟があるんですか? |
野々木 |
1階に病棟ある。 |
菊地 |
へーっ。知りませんでした。 |
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第ニ回目は、国立循環器病センターの野々木宏先生にご登場いただきました。
野々木宏先生の略歴
1951年徳島県生まれ。阿波踊りの名手。
1976年京都大学医学部卒業。スイス・チューリッヒ大学に循環器科臨床研究員として在籍後、1988年国立循環器病センター内科心臓部門に勤務。同緊急部長などを歴任し、2006年4月より心臓血管内科主任部長に就任。現在に至る。
日循プレスセミナー講演
野々木宏先生の著書
※ J-PULSE
Japanese Population-based Utstein-style study with basic and advanced Life Support Education
『院外心停止者の救命率向上に対する自動体外式除細動器を用いた心肺蘇生法の普及とエビデンス確立のためのウツタイン様式を用いた大規模臨床研究』を行う厚生労働科学研究班です。
※ AED
(自動体外式除細動器)
Automated External Defibrillator:心臓の心室細動の際に電気ショックを与え(電気的除細動)、心臓の働きを戻すことを試みる医療機器。
※ Utstein (ウツタイン)
1990年6月に、ノルウェーのウツタイン修道院で開催された国際蘇生会議において、アメリカ心臓協会等の世界各国の学会の代表が、病院外心肺機能停止症例の蘇生率等について、地域間・国際間での比較が可能になるよう、記録方法に関するガイドラインを作成しました。
具体的には、心肺機能停止症例をその原因から心原性(心筋梗塞等)、非心原性(交通事故による外傷、溺水等)に分類すると共に、目撃の有無、バイスタンダーによる心肺蘇生の有無、初期心電図波形別等に分類し、それぞれの分類における傷病者の予後転帰を記録するためのガイドラインであり、その名称がウツタイン様式とされました。
(総務省消防庁HPより引用)
※ 心肺蘇生法普及委員会
現在、循環器救急医療委員会へ改称
委員会名簿
※ CCU
冠動脈疾患集中治療室
Coronary Care Unit
主に心筋梗塞などの冠状動脈疾患の急性危機状態の患者を収容。
厳重な監視モニター下で持続的に管理する部門です。