AEDを使う心肺蘇生法 トップ > いのちをつなぐ 目次 > 第三回 漢那朝雄先生 > その9 アメリカの警察は「善きサマリア人法」が適用されないよね。
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漢那 |
あとは、社会的に違うのは、ほら、ハートセイバーAEDが多分、アメリカで必然と需要が高いのは、法律上さぁ、いわゆる 「善きサマリア人法」 が適用されるのは、一般の方々だけだからよね。 |
菊地 |
うん。 |
漢那 |
逆にいうと、公務員みたいな人達で、例えば、ほら、警官とか消防官なんちぅのは、「善きサマリア人法」 が適用されないよね。 |
菊地 |
されないの? 非番とか、勤務時間外だといいんでしょ? |
漢那 |
まあ、そうなんだろうけど。でも、勤務内だったら、これは 「国民の財産」 とか、「安全を守る」 という責務を持つ職種に就いてる人達は、「善きサマリア人法」 が適用されないから、そこでうまくいかんかったらさぁ、訴えられる可能性があるわけよ。逆にいうと、デューティ (義務) があるのよ、彼らは。 |
菊地 |
はー ・・・ そう。 |
漢那 |
そういう強制力が半分あるわけさ。だから、そういう人向けのコースが要るから、ハートセイバーAEDコースがあるっていうのが、僕の理解だけど。 |
菊地 |
ふ〜ん。そうなんだ。 |
漢那 |
日本はほら、ねぇ、みんなも良くわかっている通り、警察官とか、あまりCPRせんもんね。一部の・・・ごく一部の真面目な人はやってくれるんだけど、やっぱ、なかなかやってくれないよねえ。事故現場とかでも、応急処置とかあまり ・・・ なんもしてくれてなくってとか。 |
菊地 |
あーっ。そういう話は聞くね。交通整理してたとか ・・・。 |
漢那 |
警察の署内でさ、人が倒れて、その同僚がなんもせんかった、助かりませんでした ・・・・・ みたいな。 あと、留置場でのCPAとかね。意外とあるんですよね ・・・。あんまりいうと、俺、警察から目つけられるかもしれんね。ハハハッ(笑)。 |
菊地 |
ハハハッ (苦笑) 。 |
漢那 |
でもね、基本的な彼らの仕事は現場保存やからね。 |
菊地 |
うん、そうだね。 |
漢那 |
難しいのは、現場保存しとらんと、しとらんとで、また新聞が叩いたりするからさ。多分、難しいと思うんですよね。その点、警官も大変やと思うんやけどね。 |
菊地 |
うん。 |
漢那 |
そうそう、福岡県内である事件があって、「警察官で昇進試験とか幹部試験を受ける人は、CPRをちゃんと出来るようになるべき」 とかって、中央の方でも最近、ちょっと、変わったんだよ。 |
菊地 |
はあー。うん。 |
漢那 |
実はね、福岡で交通事故があったんよ。 ある消防官の息子さんが交通事故に遭って、結局亡くなったんよね ・・・。で、その時出動した警官がそういう心肺蘇生とか、応急処置を全然してなくて ・・・。 まあ、したから助かったかどうかわからんけど・・・。 |
菊地 |
うんうん。 |
漢那 |
それで、その消防官している親御さんが、「警察官が何もしてなかった」 と訴えて、福岡のローカル版新聞にね、「警察は何もやってくれない」 という記事が大々的に 「バーン」 と載ってからね。 その直後は警察はねぇ、ちゃんとやるようになったし、全国的にもそういう昇進とかあったら、CPRの講習受けないといけないという事になっちゃってんのよ、たぶん。 |
菊地 |
あー、そう! でも、良い方向に変わってきてるんだね。 |
漢那 |
でも、本当にどれぐらいやってんのかは知らない。 |
菊地 |
はあー・・・。 |
漢那 |
日本の場合、だから、「善きサマリア人法」 の適用っていうのがね、そこは多分、警官とかには当てはまらないから、彼らはCPR出来なくとも多分訴えられたり、あまりされないのよ。告発されて ・・・ 新聞で道義的に攻撃される事はあっても・・・。 |
菊地 |
うん。そうか。 |
漢那 |
アメリカは裁判の世界ですから。「Guilty (有罪) 」 になる可能性があるから、やっぱりするんじゃないかとも・・。なんか、そういう制度がちょっと変わんないと、難しいんじゃないかな。 |
菊地 |
うん。 |
漢那 |
うん。だから、日本での、そういう人の多く集まるところで働くような、ある意味、多くの人の安全を守る責務のある職種についている人達に対する扱い、っていうんは、社会が流れていって、将来 「義務」 になるような見込みはあると思うんだけど ・・・ ね。 |
菊地 |
うん。 |
漢那 |
まあ、アメリカだって、CPR講習が始まったのは、1960年代の後半だったか、70年前半だったかで、・・・ 記憶は曖昧なんだけど ・・・。 確か、ルイジアナの大学フットボール会場で、初めて大々的なCPRの講習をしたみたいだけど。 当時はアメリカでさえも、医療含め、CPR講習なんてあんまりしてなかったぐらいですから。その後シアトルとかでも70年前半にいろいろやり始まったとかいう話も聞いたことはありますけど・・・。 |
菊地 |
うんうん。 |
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第三回目は、九州大学の漢那朝雄先生にご登場いただきました。
菊地とは同い年ということもあって、ACLSなどの蘇生教育を通じてすごく親しい間柄になっています。
※ 善きサマリア人法:
善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、「良きサマリア人法」、「よきサマリア人法」とも、英:good Samaritan law)は、「急病人など窮地の人を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人にできることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。
誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護を促進しよう、との意図がある。(Wikipediaより引用)
※ CPA:Cardiopulmonary Arrest(心肺機能停止)