AEDを使う心肺蘇生法(CPR)ホームページ
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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

普段の院内の急変への対処すらシステム的に出来なくて、災害医療の事ができるなんてありえないよね。
菊地 今まであんまり聞いたことなかったけどさぁ、災害医療って例えば、具体的に何やってるの?
漢那 うーん。いや、実際、現場に行く事は殆ど今のところないからさ。院内の災害システムとかの、仕組み作ったりはしましたけど。災害時の訓練とか、どういうふうに動いたらいいのか、とか。
菊地 それは実際にシミュレーションするの?
漢那 ミニシミュレーションは ・・・ 1、2回しました。非常訓練として。
菊地 消防訓練みたいな感じで、何人かで?
漢那 うーん・・・あそこまでは行かないけど、最初の ・・・ 初動の1時間の訓練みたいなの。実際は30分ぐらいですね。
菊地 トリアージ練習?
漢那 その一歩前。院内の体制を作るまでの話。福岡でさぁ、地震が起きた直後さぁ、まだ全部が新病棟に移転してなかったので ・・・ ウチの病棟って、旧病棟で耐震構造になってなかったんですよ。
で、実際に、旧病棟の上の階はね、バリバリ揺れてからさぁ、一番上の階はねぇ、呼吸器科病棟やったんよ。それで呼吸器科病棟でもし何かあったら、人工呼吸器止まるとかさ ・・・ 。それで患者さん何人かねぇ、耐震の、今の新病棟の方に、数日間移動してたりとかして・・・。
菊地 うんうん。
漢那 だから、ウチの病院の中がしっかりしてないといけないっていうのもあって ・・・ 。外から受け入れたりした人達の対応を優先っちゅうより、まずは院内でやばい人達が出てくる事に対応せんとさぁ。
菊地 うん。
漢那 それでちょっと、そういう動きを具体化したような、チェックリスト方式のアクションカードってのを作って。まあ実際に今起こったら、どれが動くかわからないんやけど。
まずはキーパーソン捜して、・・・ そのキーパーソンは、人は変わろうとも、その業務で常に院内にいて責任と権限がある人ってのを考えた場合、看護師長さんやろうね。
ある程度権限があって、夜勤帯にもおるわけやから、常に。・・・ 医者は、実際には患者を診る方に回るから、なかなか難しいとこあるんやけど ・・・ 。
菊地 うん。
漢那 その人が、キーパーソンになって動けるようなパターンで、まず、院内の動きの、あとは救命とICUのドクターが動くパターンを ・・・ そういうアクションカードっちゅうのを作って。
他の病棟には、ある程度雛形作って、あとは各病棟で必要な要因を挙げて、そのカードの中に盛り込んでください ・・・ みたいな感じ。
菊地 ふーん。
漢那 院内のシステム作りには、看護師さんたちの教育とか、そういう事が必要なんで ・・・ ICUとか救急部の看護師長さんたちに今、協力していただいてんのよ。
菊地 うん。
漢那先生と菊地
漢那 それが行き詰まっとってさぁ。最近ちょっと、まずいんですけど。その見直しをせんといかんのやけど、さぼっとるんですよ。こんなAHAコース事ばっかして ・・・ 。
菊地 ハハハッ (苦笑) 。災害医療ってなんか難しいね。
漢那 「先生、災害医療の話をしてくださいよ」 って言われて、「いいっすよ」 とか受けて、講演会でしゃべったりしてるんやけど ・・・ 。「心肺蘇生、それでいいのね?」 ってことを話のきっかけにして始めるのよ。
菊地 うんうん。
漢那 実際、ちょっと運用は違うけどね。災害の時にCPRはもうせんからさ。
菊地 うん、そうだね。確かに。トリアージが黒タッグになるもんね。
漢那 それをほら、心肺蘇生法を広げる時に一緒にやってる人達の中でやればまた、災害医療の話も進む、みたいな感じに、ちょうどなってる訳ですよ。そんな人達の中だから、結構 「ツー」 「カー」 だからね。CPR関連で培った関係を発展させ、災害医療に役立てていければ良いと思ってんのよ。
菊地 ふ〜ん。
漢那 言い訳じゃないですけど、よく考えりゃ、普段の院内の急変への対処すらシステム的に出来なくて、災害医療の事ができるなんてありえないよね。講演を依頼してくれた先生からも 「よくぞ言っていただきました」 みたいな ・・ 。
菊地 うんうん。確かにね、最低限ね。そうだよね。
漢那 まぁ、それをほら、言い訳にしとかんと 「災害救急医学講座の所属なのに、先生、CPRばっかしよるばい」 って言われたらさ、いけないので。
菊地 ハハハッ (笑) 。なるほどね。
漢那 その辺をつかれたときに、「いやいや、こういう事ですよ」 みたいな。一応、そういうロジックがあるわけよ。
菊地 ハハッ (笑) 。
漢那 言い訳ができるように (笑) 。
菊地 なるほど、なるほど (笑) 。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第三回目は、九州大学の漢那朝雄先生にご登場いただきました。
菊地とは同い年ということもあって、ACLSなどの蘇生教育を通じてすごく親しい間柄になっています。
 トリアージ:Triage
一般的に人材・資源の制約の著しい災害医療において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定する方法として知られている。語源はフランス語の「triage(選別)」から来ている。一般救急外来での優先度決定も広義のトリアージである。(Wikipediaより引用)
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