AEDを使う心肺蘇生法(CPR)ホームページ
Push,Push,Pushは、皆さんへのメッセージです。 J-PULSEホームページ

いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

今まで気が付いていないようなCPRのクオリティの低下も防げる可能性があるから、オートパルスは結構いいんじゃないかなって思っている。
坂本 オートパルスの方も、そのうち瀬尾先生と一緒にやりますよ。

あれも、もともとうちでオートパルスの研究を始めたのも・・・何年前かな、一番最初、5年前か4年前にやっぱりAHAに行って・・・当時まだゾルが買収する前で、ベンチャー企業がオートパルスを作っていて、AHAのエキシビジョンに出展してたんだよ。そこで見て「これ、見るからにいいね」とかって話してて、名刺渡して「もし日本に持ってくるんだったら、臨床研究とかいつでも相談乗るから、連絡ちょうだい」と言って話してたんだよ。

そしてしばらくしたら、ゾルがそのベンチャー会社を買収したんだよ。

当時ゾルは日本ではフクダ電子と提携していた。だから、今度もフクダ電子が担当するだろうからということで、フクダ電子に「これ日本に持ってきたいから」って言ったんだけど、フクダ電子の腰がなかなか重くて、話がうまくまとまらなくてそのまま立ち消えになって、しばらく忘れてたのさ。

そしたら、ゾルがオートパルスだけはフクダ電子から日本光電に日本の提携先を切り替えて日本光電に持っていった。
菊地 へー、そうなんですか。ゾルが・・・。だから、日本光電なんですね。
坂本 そう、ゾルが。日本光電がこれから日本で販売しようと言うときに、なぜかゾルのほうからさ、「いや、この件に関しては、日本では坂本先生が最初から相談に乗ってるから、そこに挨拶してください」って日本光電が言われて、「え? 坂本先生?」ってビックリして。日本光電は日本光電でもちろんお互いに知ってるから、早速「実は、私どもが扱うことになりましたから」って挨拶に来てさ、「いつの間にそんなとこに噛んでるんですか?」って。巡り巡ってこっちに話がまわってきてさ。
菊地 へー。やっぱり人の縁ですね。
坂本 うん。そう。
もちろん、最初から興味があったし、ちょうど例のアースファイアースタディっていってアメリカのランダマイズドスタディであんまりいい結果が出なかった時期なんでさ・・・ほら、アースファイアーってのは、ゾルがスポンサーシップとってアメリカでマルチセンターのランダマイズドスタディをオートパルスでしたんだけども、結局アウトカムで差が出なかった・・・。
菊地 PEAの方は心拍再開率が高かったけど、VFは全然変わらなかったっていう・・・。
坂本 そうそう。それは結局、分析してみるとオートパルスの装着にすごく時間がかかってるとこがあったりとか・・・VF例ではオートパルスの装着がかなり遅れていたりとか、もう要するにダメな症例だけ着けてるとか、いろんなバイアスが入ってたりとか、やっぱりそのプロトコールがきちんとできてないんです。

だから今、ゾルはもう一回新しく前向きの症例を蓄積し始めてるんで、この新しいスタディで良い結果が出るかどうかはあれなんだけど、とても日本じゃそういうことできないし・・・。だけど、まあ今の日本の救命士が使うときにどういうプロトコールで使ったらいいかとかさ、そういうことも含めて色々と研究を考えてみようと思っている。
菊地 日本での救急隊の使用に関しては、心臓マッサージする人が要らなくくなりますから、1人分の人員が取られないで、救命士は他の処置に時間を割くことができて、いいですよね。1チームに3人しかいないのに、救急車内では1人は運転手、1人は心臓マッサージをやってますからね。
坂本 もちろん、1人いらなくなるのもいいし、何と言ってもいいのは移動中。移動中も心臓マッサージできる。階段とかさ、廊下とかさ、ほとんど胸骨圧迫できてないでしょ。

先日、それをスタディしたんでデータがあるんだ。スキルレポーター付きのレサシアンをさ、ストレッチャーに乗っけて普通に救急隊にCPRをしてもらって、それをちょっと狭いところとか階段になるとこを動きながらCPRをしてもらって・・・。要するに、家屋内あるいは電車のホームから救急車乗せるまでの間をシュミレーションして、その間のCPRのクオリティがどうなるかってチェックしたんだけど、結構悲惨なもんだった。

見た目では、結構できてるんだよ、ずっと胸骨圧迫してるって。だけど、スキルレポーターで実際に深さとかそのばらつきを解析すると、一気にクオリティが落ちちゃう。やっぱそういう面でも・・・何て言うの・・・単なる見た目の中断時間というんじゃなくて、今まで気が付いていないようなCPRのクオリティの低下も防げる可能性があるから、オートパルスは結構いいんじゃないかなって思っている。
菊地 ええ。その通りですよ。
坂本 そうそう。だから今、厚労省も総務省も従来あったサンパーと同じ効果のものと言う認識で、通常の救急隊員はサンパーを使うことができるわけだから、オートパルスに関しても特に新しい資格が必要というわけではなくて、一定の練習をすれば従来のサンパーを使うのと同じように使えるといった見解になってるんで。あとは値段の問題さ。高いから。
菊地 じゃあもう、これから実際に配備されれば使用可能になるんですね。コストパフォーマンスは絶対いいはずですよ。救急隊員を1人増やすより、全然安くていいんじゃないですか。
坂本 うん。まあね。でも、一応、建前上ベルトはディスポだから、結構1例ごとにそれなりにコストはかかることになる。滅菌して使えないことはないかもしれないけどね。
菊地 え? あのベルトってディスポなんですか? 連用すると、ダメなんですか?
坂本 いや、結局、血が付いたり、汚れたりっていう劣化に対してメーカー側は責任が取れないということだよ。だから、もちろんディスポで使用するってことになっている。「ディスポ以外の用途で使うなら、それなら使用者責任です」ということだと思うよ。
菊地 なるほどそうですか・・・。いい器械なんですけどね、ちょっと難しくなっちゃいますか・・・。
前 前     ページの先頭へ ページトップに戻る       次 次
シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第八回目は、帝京大学の坂本哲也先生にご登場いただきました。