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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

心停止の現場に遭遇したことあるよ。それ以外には交通事故の現場とか、痙攣重積とか、その他の病気とか。電車の中のドクターコールも結構あるよ。(2)
坂本 車に乗っていて交通事故には結構、遭遇するよ。それも激しいやつ。

朝、通勤する最中に五日市街道を走ってたら、こっちの車線の真ん中に自転車が走ってきて、そのまま前を走ってる車に正面からボンネットにバーンって乗り上げて、倒れてひっくり返って跳ね飛ばされた。ボンネットに自転車ごと跳ね上げられて倒れててさ、耳から血出しててさ。

「うゎ!手当てしないと」って思ってさ、自分の車を停めて。片側一車線のあんまり広い道じゃなかったんで、自分の車で道路を封鎖して・・・。近づいて行ったら結構血だらけで、「あ!手袋持ってないな、今日は」ってとっさに思って。

すぐ目の前がコンビニだったんで、すぐに野次馬が集まってきたから、「はい、じゃ、そこの人、コンビニに行ってレジの袋5枚もらって来て!」、「はい!」ってコンビニのレジ袋取りに行ってもらって、そのコンビニのレジ袋に手入れてそれを手袋代わりにして、とりあえずJPTECじゃないけど、一通り初期評価と全身観察して。

そしたら骨盤骨折なんだよ、おそらく。しょうがないから救急隊来るまで片側抑えて持っててあげてさ。意識がそのうち段々戻ってきてさ、2桁くらいになってきて。そのうち救急隊が到着して「これこれで、・・・・全身観察で『骨盤骨折の可能性あり』なので、救命センター選定がいいと思うよ」とかって申し送って指示してあげて・・・。

そしたら救急隊がさ、俺の前で緊張したんだかわかんないけどさ、スクープストレッチャー乗せて全身固定するときにさ、身体を固定する前に頭から固定しやがってさ、俺がしっかり見ちゃってるから、「何だ!頭から固定して!ダメだろ!」って指摘してさ。それもそのまま救命センターへ連れてって「骨盤骨折だと思う」って。 ・・・ということで、そういうところには結構よく遭うよ。
菊地 しかし、さすがですね。
坂本 何年か前もやっぱしバイクと車が目の前で衝突して、その時は結構交通量も多かったんで、そのまま自分の車を路肩に停めちゃったんだ。

そしたらさ、反対車線で起きた事故でこっち路肩に停めちゃったから一車線分通れるのさ。ヘルメット外しをしたりして、頚椎を保持して固定してたんだけど、危なくて、危なくて。警察に「ちゃんと車停めて。車線封鎖して安全確保して!」とか言ってもさ、「片側通行にしてますから、大丈夫です!」とかって言ってさ。でもさ、俺のすぐ後ろを車が通るんだよ。「危ないな」って感じでさ。・・・っていうのはあった。

他には、吉祥寺の駅降りて、暮れの忘年会帰りかなんかで、人だかりがあるんだよ。行ってみたら、酔っ払ってバット持って暴れてるのさ。それで酔っ払いがボコボコに殴られていてさ。そのうち救急車が来たけど、興奮しててさ、ちょっと危なくて近寄れない。でも、そのうち周りの人が取り押さえてくれたんで、「ちょっと危ないから、急いで救急車に乗せちゃって救急車の中で処置しよう」って言って一緒に中入って、一通り見てさ。

救急隊に「先生、一緒にいいですか?」って言われて杏林まで一緒に連れていかれて。杏林に到着して「じゃあ」って言って、救急車を降りた途端に、杏林の先生みんなから「坂本先生、なんで乗ってるんですか?」って不思議そうにされて、「いや〜たまたまだよ」って。
菊地 いや、そりゃ、みんな、ビックリするでしょうね。
坂本 あとは、何年か前に新横浜で学会があった時だったかな。徹夜明けでヘロヘロに疲れながらも評議委員会があるんで、昼ごろ新横浜の駅降りて、新幹線じゃないほうだな、在来線のほう。

トットットッて階段上って行ったら、改札の目の前で、二十歳くらいの女性が全身痙攣で倒れて、見るからに全身痙攣なんだ。「もう手当てするしかないな」って思って、「舌根落ちないように」って気道確保してあげてさ。救急隊員が到着するまでに少し意識が戻って、それまで色々話を聞いたりして。「それまでもともとてんかんの既往があって、抗てんかん薬をしばらく飲んでなかったみたいで・・・・病院へ連れて行って」って申し送って。

それで「学会の会議に向かう途中だった」という話をしてさ、「会議に遅れるので、連絡を大学に一応入れといてほしい」って。救急隊の人に名刺を渡してから、「大学に連絡して『これでちょっと手間かかったから、学会の評議会には少し遅れる』っていう伝言を秘書に連絡するように言ってください」って頼んだら、「わかりました!」ってその救急隊が答えてくれて。

しばらくしたらさ、大学から電話があってさ、「救急車から電話があったから」って。「先生、大丈夫ですか!?大丈夫ですか?」って。「大丈夫だよ。大変だったんだよ」って。そしたら、「『横浜で先生が痙攣起こして倒れた』っていう電話があったんで、徹夜明けで疲れて、先生が発作起こしたんじゃないかと思って」って言うわけ。「ばか!」って言って、「そうじゃない、俺は助けたんだ!」って。

・・・なんていうのはあった(笑)。
菊地 ははは(笑)。情報がぐちゃぐちゃになって交錯しちゃったんですね。
坂本 目の前でてんかん発作起こされると、「歯を食いしばってる間は、気道確保もできないしなー」と思いながらさ。みんなは遠巻きにしていくしさ・・・。
菊地 そうですよね、たぶんね。痙攣してるから、なおさらでしょうね。 でも、当たる人は結構よく当たると言いますが、先生は当たりますよね? やっぱり、東京は多いんですかね、誰でもよく見かけますかね?
坂本 だってその気になればさ、いつも無視するけどさ、酔っ払って寝転がっている人なら池袋とか新宿とか山の手のそこら中にいるでしょ。あれだって本当に酔っ払ってるのかさ、低体温で心停止間際なのかとかさ、本当は声かけてみなきゃさ、わかんないんだけどさ、・・・・。

どうせ酔っ払いだろうと思ってさ、関わらないようにしてるけど。目の前で倒れられれば別だけど、最初から転がっているから放ぽっといてるけどさ、ああいうのいちいち手出してたらきっときりがないよ。
菊地 自分が医者になったばかりで東京に来たときに声かけましたね、「大丈夫?」って。そしたら、東京に住んでいる友達に「やめろ!」って厭られながら言われました。「きりがない」って。そうなんですよね、いっぱいゴロゴロいて確かにきりないんですよね・・・(諦)。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第八回目は、帝京大学の坂本哲也先生にご登場いただきました。