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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

今回の研究の目的は、「標準的な救命救急センターで心停止蘇生中にPCPSを通報から1時間以内に装着させると、予後に差が出るのか」ということ。
菊地 日大の長尾先生も積極的に蘇生後の低体温療法を行っていますよね。

その長尾先生と国循の野々木先生が行っている研究J-PULSE hypoでは、蘇生後に心拍が再開してからの症例が登録対象でしたか?
坂本 うん、J-PULSE-Hypoでは両方を対象としている。だから、今回のSAVE-J研究には、もちろん長尾先生の施設からエントリーもしてもらうけど、あくまでPCPSを使う前に心拍が再開した症例については今回の対象には入れていない。

僕らの研究っていうのは、・・・今回の研究やる前に僕らが分担研究者の関連施設で調べてみると、やっぱり通常のACLSに反応しないようなVF症例に対してPCPSを使うと社会復帰率が大まかな数字で10%から15%ぐらいだった。

それが、長尾先生の施設だったら20%以上とか、札幌医大で30%だとか、1施設で個別にプロトコールをもっとつき詰めていけばいい数値が出るんだと思う。そういう面では、もしかしたら長尾先生とかの施設独自のやり方がいいのかもしんない。

だけども、その中には、今回の対象に入らないような患者も含まれている。だからやっぱり何て言うのかな、「ある特別な施設で、非常に熟練したやり方でやれば、これだけの良い成績が出ますよ」というのは、なかなかほら、再現性が保てないじゃない。

そこはだから、それはもうそれでエキスパートの施設はいい数値として、でも、そうじゃなくて僕らの研究としては、「PCPSを回す能力のある標準的な救命救急センターが一定のトレーニングを経て通報からPCPS回すまでが45分プラス15分で1時間というプロトコールで行うことによって予後に差が出るかどうか」ということを検証するのが一番大事だと思っている。

で、そういう方法で検証すれば、あとから誰が真似してやっても一定のプロトコールに従って行えば、同じ結果が出るはずでしょ。
菊地 なるほど。
坂本 やっぱそこがちょっとみんなやっぱり共通のプロトコールで、・・・やっぱりだから・・・なんて言うのかな・・・1施設で非常に先進的な優れたデータを出すことも大事だけど、全体としてのレベルは、・・・なんて言うのかな・・・多少抑えられても、やっぱり複数施設で再現性ある形で誰がやっても同じ数値が出るようなプロトコールをきちっと決めてそれできちっと治療することも大事なんで、そういう面でみんなが共通認識の上でやってるんだよね。

やっぱりサイエンスとして認められないとさ、「やってみた。治った」って言ってもさ・・・。
菊地 そうそう。「やってみた。治った。満足した」、じゃ、ダメですね。
坂本 結構スケジュールもタイトで厳しいけど、良い結果が出るんじゃないかと非常に楽しみにしているんだよね。
菊地 先生から頂くそのプロトコールを待ってから、「参加希望」を提出するようにしますけど、獨協医大ではPCPS回さない群で参加しようということで考えています。
坂本 うん、それであれば、これまで通りの治療でいいし、特殊な例はPCPSの治療を行ってもいいし、ただイニシャルVFで45分以内に来た患者さんをエントリーしてもらえれば、それでいいよ。

そういうことで症例が集まれば、統計的な検討を行うときに非常に大事になる。一応これまでの後ろ向きで集めたデータから推測されたのとほぼ同じくらいの数値が前向きで出てくれば、有意差が出る予定になってるんで。

これまでの社会復帰例って、ほとんどが病院到着前までに救急隊員が心拍再開させてきたか、あるいは初回のエピネフリン静注したくらいで心拍再開したような患者さんばかりでしょう。

救急センターに運ばれてきて、15分間蘇生を頑張ってようやく心拍が再開したような症例は、ICUに入ってもいずれ2〜3日で亡くなるというのが今までの場合ほとんどでしょう。

おそらく救急センターへ運ばれてきた心停止の患者さんのほとんどは外来でお亡くなりになっているはずで、そういう患者さんと比べて、PCPSを回せば、・・・装着に伴う合併症もあるけど・・・少なくとも1回は循環が出るわけだから、蘇生されるはずで、その後の社会復帰率は10%って見込んでいる。

別に全然高い数値じゃないけど・・・でも逆に使わなければ1%にも満たないだろうから・・・。うまくいくといいね。
菊地 本当ですね。是非引き続きよろしくお願いします。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第八回目は、帝京大学の坂本哲也先生にご登場いただきました。