AEDを使う心肺蘇生法 トップ > いのちをつなぐ 目次 > 第六回 瀬尾憲正先生 > その6 ミニアンでCPRを習った子供たちが家族へ教えると、心肺蘇生できる人がねずみ算的に増えていく。
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菊地 |
最近、ガイドライン改訂前なのに、日本から出た研究結果に基づいてAHA(アメリカ心臓協会)から 「ハンズオンリーCPR」 が緊急発表されましたね。
一般市民が行う 「胸骨圧迫心臓マッサージだけの心肺蘇生法」 でも有効と判明しましたので、バイスタンダーCPRが増えてくれればいいなとスゴク期待しています。
ですが、やっぱり増やすためにはたとえば小学校とか、ちっちゃい頃からの教育が大切じゃないかと、思っているんですよね。
ですから、先生にはお手数をおかけしておりますが、一緒に 「小学生へのCPR教育」 の研究をやっていこうと計画しているところなんですよね。
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瀬尾 |
ええ。
そのきっかけは、再来年(2010年)に日本蘇生学会の会長を務めることになったので、今年3月に日本で今年初めて開催された、日本蘇生科学シンポジウム(通称:J-ReSS(ジェイレス))に参加したわけだけど・・・。
それを聞きに行って、心蘇生だけ、つまり心臓マッサージだけでも蘇生率が上がるんだということも発表されていたり、AHAから「ハンズオンリーCPR」が緊急発表されたことや、2010年のILCORガイドライン改訂についても、日本から発信した研究が結構取り上げられるということを知った。
そこで心肺蘇生に関する研究が活発に行われて、まだまだ未知のテーマがあると再認識した。
小さいときからきちんとした心肺蘇生を教えるということが重要なことだともよくわかった。
坂本先生のグループが心肺蘇生を短時間で学校で教えられる45分プログラムというのを発表していて、この有効性を小学校できちんと確かめてみようかなと考えて、それをやろうとしている。
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菊地 |
ええ。
先生がお住まいの益子町とか、その近隣の真岡市の、知り合いの市長さんを通して、今、話を進めようとしているところですよね。
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瀬尾 |
とりあえず身近なところからということで、真岡の市長さんがドクターなんで、以前にちょっと内々に話をしたら、「それはいいことだ」と言ってもらったので、少し話を進めています。
益子町はそれより小さい町ですけど、「町の 『「健康運動』 」 の一環としてやるというのは非常にいいことだ」 と知り合いの町会議員さんが言ってくれている。
対象は小学生とその父兄をと考えています。
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菊地 |
小学生からの教育が大切なんだと思うんです。
実は僕の同級生が岩手県の久慈市というところですでに小学5年生から高校3年生までの8学年に毎年心肺蘇生法を教えているんです。
確か今年で5年目とか言っていた気がします。
習った小学生が救命して表彰されたとも聞きました。
そこでは授業の一環で行っているので、同様に授業に組み込めるといいと思っているんです。
確か、岐阜の関市で 「ミニアン」 を使ったプロジェクトを始めたと思いましたが、対象は中学生でしたか?
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瀬尾 |
そう、中学生。
市の予算で500万円だったか300万円だったか支出したみたい。
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菊地 |
そうですか? 各自で購入してもらったんじゃないんですね?
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瀬尾 |
そう。市が中学生全員にミニアンを配ったんです。
市がミニアンを配ってCPRを普及させようという運動で、学校でCPRの実技を勉強して、家に帰ったら3人の人に教えましょうというプログラムだったと思う。
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菊地 |
ええ、すごくいいですね。
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瀬尾 |
今度その新聞の切抜きを益子町の町議会議員さんに見せて、予算がつけられるところまでいってほしいと思っている。
授業の一環として45分でやるということが重要なことだと思う。
特に益子町は高齢者が多くて、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に住んでいる子供たちがいるわけだから、その子たちが両親とか家族に教えると、心肺蘇生できる人がねずみ算的に増えていくわけだから(笑)、救命率もよくなる・・・。
そういう意味では非常に有効じゃないかと思っている。
この前の新聞で学生がフットサルしていて心臓震盪になったけど、そのときにAEDとCPRで助かったという話もあるから、今、AEDを学校に設置する話はどんどんすすんでいるけど、実際にじゃあそれが有効に使われているかっていうと、そうでもないよね。
職員室のロッカーの中に鍵をかけてしまっているっていう話を聞いたし・・・。
その点でもやっぱり、学校の中できちんとしたところに置いておいて、きちんと操作できるというのは非常に有効だと思う。
そういう意味でも、BLSの教育とかAEDの操作、それから普及というのものが、これを機に広がってほしい。
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菊地 |
本当にそう思います。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第六回目は、自治医科大学の瀬尾憲正先生にご登場いただきました。