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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

ドクターコールに応じる医者は34%だけ
平盛 この前、読んだんだけど、飛行機とか電車でね、急病人が出たときの、ドクターコールに応じるっていう返事をした医者は34%だけだって。
菊地 はい。
平盛 で、その応じた人たちにもう1回、次は出るかって聞いたら、 「次は絶対出ない」 って答えたという。
確か、3割いたはずだ・・・。
菊地 「次は絶対出ない」 って答えたんですか・・・。
応じる医者がたった3割で、そのうえ、応じたことがある医者の3割は応じなくなるん ですか・・・。
平盛 医療がおかしくなってる。
菊地 ええ、今、医療はちょっとおかしくなってますよね。
平盛 僕はホイホイって出て行ったし、結構よく出くわしたんだよ。そら、難しいのもあるよな。
平盛先生
菊地 ええ。
平盛 難しいのがあるよ。重病の患者さんに、 「手術をしないと助からないだろう。だが、この手術は難しくて、手術で命を落とす率が5%ぐらいあるけど、手術を受けますか、いいですか」 って尋ねたら、本人と家族が 「やってくれ」 って言うので、手術したら亡くなってしまった。そうしたら、殺されたと言って訴えられるとかね。
菊地 ええ。そうですよ。
平盛 救急なんて特にそんなのがあるわけだよ。
菊地 僕はまだ酷い目にあってないんですけれども、世の中には酷い揉め事が一杯ですね。
平盛 そんな訳で、そういうトラブルに巻き込まれるのが嫌だからって、ドクターコールに応じなくなる。
菊地 応じなくなりますよ。
絶対そうなると思います。
平盛 だけど、法的にはそれで訴えられるとか、罪を問われる事は無いって事になっているんだけどね。
だけどそういうわけにはいかないぞ。
あの時の医者の態度が気に入らんとかな。なんだかんだ言ってくるわけだぞ。
菊地 本当に今は世の中がちょっとおかしくなっていますね。
平盛 おかしくなっているね。
僕はいい時代に前線を去ったよ。
まあ、労働キツイとか、勤務キツイとか、なんだかんだ言って、ヤダヤダって言うでしょ? 今の若い連中。
菊地 ええ。
平盛 だけど僕は、東京女子医大国立循環器病センター岩手医大でもそうだったけどね、もう死ぬほどシゴイたぞ。
殴ったりしたんではないぞ。
大体が自発的にシゴカれていたんだ。
菊地 ええ。
平盛 自分も連中以上に働いたぞ。
でも、それを誰も嫌がってなかったもんな。
国立循環器病センターで、若い連中が、任意研修医は家畜、レジデントは奴隷、医員は平民だとかという笑い話を陰でしてたようだよ。
菊地 ええ。
平盛 嫌になって逃げてった奴は1人もいなかった。
ただ、大バカモンがいて、 「出てけっ」 って言ってしまった奴が一人いたけどな。
菊地 ええ。
多分、その当時は、やっぱり世間の医者に対する尊敬が全然違ったと思うんですよね。
平盛 そうそう。患者さんもねえ、一所懸命だったよ。
一所懸命付き合っていた。
病気と付き合う、医療スタッフと付き合う、というな。
だから、日本社会が崩れてきているという部分はある。
菊地 ええ。そうだと思います、やっぱり。
同じ内容でも、今同じ事はできないと思います、やっぱり。
平盛 だけど、そういう時であるからこそね、
「おかしい」、
「このままでは壊れていく」、
「この地域は酷い事になる」、
「何とかしないと」
って思った時に、そう思った人がね、何か具体的な事で・・・大きな事を言うんじゃなくて・・・具体的に少々の状況を良くするって、覚悟を決めて、やらなきゃいけない。
一人一人がそれをやるという状況になってくれればね、世の中動くわけだぞ。
菊地 多分、まだ一人一人が動くその気にはなっていないんじゃないかと思います。
平盛 文句言って逃げ去る、立去る段階という?
菊地 今は文句も言わないんじゃないですか。
平盛 文句も言わない、黙って立ち去る。
菊地 もうダメだなと思って、黙っていなくなるっていう・・・。
医療崩壊ですね。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の記念すべき第一回目は、モリーオ株式会社代表の平盛勝彦先生にご登場いただきました。
先生は菊地が医師1年生の時からのお師匠さんです。

5月の岩手山

5月の岩手山
開運橋の上流にある桜橋からは、真正面に岩手山が望めます。雪解けが進み山の斜面に鷲形が現れる頃、岩手も春本番を迎えます。