AEDを使う心肺蘇生法 トップ > いのちをつなぐ 目次 > 第七回 白戸隆洋先生 > その1 さらに高度な治療が必要な患者さんをどこに搬送すればいいんだろう?・・・
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菊地 |
久しぶりです。日に焼けて元気そうだね。あんまり変わってないね。
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白戸 |
久しぶりです。平日は仕事、週末は子供のテニス大会の運転手で、忙しくしているよ。
実は、俺、最近痩せたんだよ。10kg痩せました。いや、やばかったもん。食べて飲んで運動しないで。80kgになって、BMI29くらいだった。で、これはヤバイって思って、日野原先生の言うとおり運動して。
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菊地 |
ははは(笑)。日野原先生・・・。
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白戸 |
その反省を生かして、最近、講習会で必ずこの運動やるようにしてる。
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菊地 |
なるほど。うーん。そうだよね。俺も運動不足だ。全然やってない。
緊急時に備える事も、そうならないように予防する事も、どちらも大事なんだけど・・・。平盛先生も「健康は空き腹と肉体労働から」って言っていたしね・・・。運動、大事だね。
久慈病院辞めて開業して忙しくしているみたいだけど、久慈はどう? 医療崩壊とか、医療過疎とか言われていて、やっぱり大変でしょう? 厚生労働省から岩手県、栃木県、大分県だったかに初めに医師派遣されましたからね。自分が関係している県が2つ入っていて、ちょっと残念でした。「やっぱり、医療過疎なんだ」ってね。
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白戸 |
うん。そうですね、病気にもよるけど、久慈医療圏では、何とか県立久慈病院で救急患者さんや重症患者さんを引き受けているほうだと思います。
でも、「さらに高度な治療が必要な患者さんはどこに搬送すればいいんだろう?」って困ったりもすることもあって・・・。上手くいかない事もあったりして・・・。そう思ったりもするんです。
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菊地 |
他の地域での事だけど、急性大動脈解離の患者さんが、初めに搬送された病院から高度救命病院へ搬送される途中で亡くなってしまって、家族と揉めているって話を聞いたことがあります。
初めに搬送された病院で急性大動脈解離と診断されて、患者さんも含めて家族に、「さらに高度な治療、つまり難しい手術をする必要がある」って説得して、1時間で到着する高度救命病院へ搬送する事にしたのだけれど、その搬送途中で患者さんが亡くなってしまったのです。
家族にしてみたら、もっと近い2次病院といわれる施設に搬送すればよかったのではないか、ということなのです。近い将来どこにでも出てきそうな話じゃないですか。
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白戸 |
そうですね。病気自体が重症で大変ですから、非常に難しい選択ですね。
なんだか・・・久慈の状況に似ていますね。高度な治療が可能だけれども、遠い盛岡市の岩手医大に2時間かけて搬送すべきなのか、近い八戸市に1時間ほどで搬送すべきなのかっていうことですよね。難しい問題ですね。
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菊地 |
う〜ん。実際、本当に難しいですね。
弘前大学の花田先生から聞いたことありますが、八戸の病院で対処できない患者さんは、さらに弘前に搬送されるみたいで、それはもっと大変ですね。
心臓外科医でも大血管の手術を行える人と行えない人がいますよね。八戸でも急性大動脈解離を手術できる医師は限られていて、ある病院にしかいないじゃないですか。そうなると、他の病院に行ってもだめ、その病院の医師と手術室とが空いてないとだめ、ですよね。
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白戸 |
そういう事情を市民のみなさんはよく知らないんですよ。
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菊地 |
うーん。これはこの地域の問題だけでなくて、どこにでもある問題になってきていると思うんです。だからもう、そういうのは、広域医療圏で、疾患ごとにどの病院に搬送するべきかを事前に決めておかないと、もうダメですよ。
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白戸 |
そうですね。今は、もう。
だから本当に、久慈は行政区分上では岩手県なんだけど、もう八戸広域医療圏に分けられるほうがいいかも(笑)。
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菊地 |
いや、医療圏は本当にそう。花田先生も「大館市は秋田県なんだけど、今では弘前大学の医療圏だもん」って言っていました。
県とかの行政区分どおりには立ち行かなくなっているみたいですね。
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白戸 |
あー、そうですよね。秋田県鹿角市の患者さんも弘前大学へ搬送されたり、岩手医大に搬送されたりしていますね。
「鹿角ではこれ以上の治療ができないから、盛岡に行くか弘前に行くか」って尋ねると患者さんがどっちか選ぶみたいですよ。「娘がそっちに居る」とか、「親戚がこっちにいる」とか、そういうので行き先を選ぶみたいです。
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菊地 |
やはり自分の生活に根差しているほうを選ぶわけですね。地図上の線とかではないんですね(笑)。
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白戸 |
ふふふふふ(笑)。
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シリーズ 第七回目は、しろと内科循環器科クリニック院長の白戸隆洋先生にご登場いただきました。
白戸隆洋先生の略歴
岩手県出身。岩手医科大学医学部卒業。
高校〜大学で菊地の同級生でもあり、大学の部活までボート部で一緒でした。
卒業後岩手医大第二内科(平盛勝彦教授)に入局し、2001年岩手県立久慈病院循環器科長。
2006年10月、しろと内科循環器科クリニック院長。現在に至る。
岩手県久慈地域の心肺蘇生普及活動に深く携わっておられます。
※ BMI (ボディマス指数)
体重と身長の関係から算出した、ヒトの肥満度を表す指数。体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値で表される。日本肥満学会の基準ではBMI 25以上が肥満と分類される。
※ 大動脈解離 (大動脈乖離)
だいどうみゃくかいり
なんらかのきっかけによって、3層構造を作っている大動脈のうち真ん中の層の膜(中膜)に血流が入り込んでしまい、層構造が別々に剥がれていく(解離してしまう)病気。
Wikipediaより引用