AEDを使う心肺蘇生法 トップ > いのちをつなぐ 目次 > 第七回 白戸隆洋先生 > その5 この心肺蘇生法の普及活動をやってて良かったなと思うのは、着々と助かる命が増えて・・・
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白戸 |
この活動をやってて良かったなとまず思ったのは、人の命が助かることを目の当たりにできる事かな。
久慈地区医療圏に約7万人で、その消防管内での救急車出動件数はだいたい1,500件で、心肺停止は年間約70件。このうち循環器系はだいたい50くらい。
やっぱり医療圏1万人あたり7人くらいっていうのが統計で出てると思うんですけど、だいたいその通りでした。
そのうち、心拍再開したのが平成17年は5.9%、18年は3.9%だったけど、19年にはかなり増えました。
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菊地 |
それは何か、やっぱり教えた効果が出ているの?
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白戸 |
うん。そうそう。
バイスタンダーCPRの率が、平成17年が約30%で・・・、その前が確か16%くらいだったんですよ。
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菊地 |
30%なんだ・・・。いや、それだって日本どころか世界的にもけっこういい数字だよ。
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白戸 |
それが今回、平成19年度は44%。
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菊地 |
44%ってスゴイね。岩手県全体に、心肺蘇生の普及キャンペーンでテレビにコマーシャルを流しているときに最高が42%か何かだったんだよね。44%はすごいね。
シアトルではいつも50%超えてるからね。その頃は、そこを目指したいと思って頑張っていたんだよね。
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白戸 |
これで増えてきて、だから心拍再開率も上がってるだろう、と。ただ残念ながら、社会復帰はまだそんなに多くなかったんです。
でも、これが去年の、社会復帰した1例目。これは病院に到着した時点で心拍が再開してた。この方の初期リズムはVFだったんですよね。で、AEDでショックしてPEAになって、またVFになって、途中でまたAEDでショックして、蘇生されてる。
で、これが、2例目。この人も去年の9月。ゴルフ中に、この時も、残念ながら市民が除細動ボタン押せないで、到着した救命救急士が押しちゃったんだけれども、これもVF。
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菊地 |
でも、その間CPRしてればいいからね。ガイドライン2005の重要点はそれだもんね。
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白戸 |
ここまでは、救助してくれた方が大人の人ばっかりなんだけども、次がですね、子供がいるんですよ。
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菊地 |
おっ、すごい。この子、小学生?
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白戸 |
そう、小学生。
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菊地 |
おお、すごいねー。
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白戸 |
これは今年のことなんだけど、山根温泉に家族で行ったときに、この子が溺れている人を発見して、「お父さん、溺れてるよー!人が」って叫んで、この32歳のお父さんが行って助けた。
でも、VFじゃなかったんだよね、きっとね。有効な心マと気道確保。マウス・トゥ・マウス人工呼吸をやってないんですよね。でも、それで助かった。この人も社会復帰できた。それで子供たちの活躍が表彰されたんです。
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菊地 |
うん、そりゃ大切だ。励みになるよね、こういうのは。
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白戸 |
で、次が、これ自宅なんですけども。これは子供ではないんだけども、息子がもう必死になって心マをしてて。気道確保と胸骨圧迫。あっ、これもマウス・トゥ・マウス人工呼吸なしですね。その後、救急隊到着まで9分、いや除細動まで9分かかってる。これは、時間がかかっているんだけど、やっぱり普通であれば、まぁ、救命率がかなり低くなる時間なんだけど・・・それでも助かった。
これが1月のことで、さっきのが3月のことなんで、今年に入ってすでに3ヶ月で2人も社会復帰してる。だから、やっぱり傍の人がバイスタンダーCPRしてくれると違いますね。
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菊地 |
ほぅー、ホントにすごいね。
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白戸 |
そうそうそう。で、昨年度の1年間で、つまり今年の3月31日までで4人が社会復帰している。だから、久慈地区の救命士さん達もすごく喜んでるし、励みにもなっている。
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菊地 |
うん。いい循環になっているね。
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白戸 |
そう。ちなみにこの人の息子さんっていうのが、救命士の卵だそうで、たまたま東京から帰ってきていたときで・・・。
もう1つ面白いのが、奥さんに「この辺にAED無いのか」って一生懸命叫びながら心臓マッサージをやってたそうだ。自宅でね。
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菊地 |
あはははは(笑)。落ちがあるんだ。でもまぁ、すごいよ、すごい。
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白戸 |
とくに、この普代村は心肺蘇生法が普及しているんです。村民が3,000人なんですけど、たぶん概算だけど、学校と一般の人たち、あと救命士さんが広めた人たちを含めると…村民の3分の2はもう心肺蘇生ができると思うんです。
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菊地 |
わかった、その救命士さんって、城内さんでしょ?
自分の休みの日でも、1人でも希望者がいれば、講習会をやったっていう。休みの日にも普代分署を開けて。すごいよね〜。
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白戸 |
すごい嬉しいですよね。だから、こうやってやって続けていくのが大事なんだろうなっていう。そうする事で着々と助かる命が増えてるのかなって感じています。まさに「ACLSじゃなく、心肺蘇生法が生存率に有用である」というデータ通りだなと思います。
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菊地 |
いいね〜。イイ感じですね。
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シリーズ 第七回目は、しろと内科循環器科クリニック院長の白戸隆洋先生にご登場いただきました。