AEDを使う心肺蘇生法(CPR)ホームページ
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いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ

最初の専門は消化器外科だったんです。
菊地 そう言えば、先生は「膵炎治療ガイドライン」や「DIC治療ガイドライン」の作成に携わっていてスゴイですね。心肺蘇生法もやってガイドライン作成もやって・・・。そりゃぁ、「土日は居ない。平日も遅い」って奥さんに言われちゃいますね。
真弓 まぁ、どっちも趣味みたいなもんだから(冗)。
菊地 ははは。最初の専門は消化器だったんですか?
真弓 そうそう。消化器外科。だから、胃癌とか大腸癌とか切りまくりました。乳癌もやったし・・・。
菊地 なるほど。
真弓 大垣市民病院というところにも居たんですよ。当時「市民病院に研修に行くと、血尿が出る」って言われてた。大変で。外科1年目は5時間寝れればいいほうで・・・。その頃、特に人が少なくて、手術が午後からしか出来なくて。午前中は回診とか外来で、午後から手術なんですよ。

で、午後から色々小さな手術をやって・・・粉瘤取ったりアッペやったりとか・・・その後、胆石のオペやって、その後、胃癌、大腸癌の手術で、大体オペが終わると20時とか21時とか。
菊地 ふうーん。小物の手術やって、アッペやって、胆石やって。積み重なっていくんですね。それも午後から、ぐるぐる回すわけですね。
真弓 そうそう。だって、3チームしかないから、3チームで1日10何件のオペやらなくちゃならないから。酷い時には胃癌やってから食道癌というのがあって・・・。
菊地 ええーっ(驚)。
真弓 食道が始まるのが17時ぐらいから始まって、終わるのは0時ぐらい。で、そこから標本さばきやって。
菊地 ええーっ(驚)。
真弓 だって、胃癌とか大腸癌とか、症例数が日本のトップ5に入るぐらいの病院だからねぇ。ランキング本にも載ってますから。
菊地 そうなんですか・・・(厭)。
真弓 大変なんですよー。で、まぁ、それだけオペがあるから、ねぇ、若手にやらせると全然はかどらないから、基本的には上の先生がどんどんやって。で、夜中になって緊急オペになると、我々が全部呼び出されて、我々が出来るというパターンです。
菊地 なるほど。「待ってました!」という感じですね。
真弓 いや、「もう勘弁して」っていう感じ・・・。
だって、いつも呼ばれてばかりで・・・。寮にいる人からまず呼ばれることになっているから・・・。僕の同期は早々と結婚しちゃって、しかも僕の下の後輩も早々と結婚して、結果的に寮に残っているのは、僕の周りの代は僕一人僕だけしかいなくなって・・・。

だから、緊急オペがあると必ず僕が呼ばれるというパターンになってしまったの。研修医は二人ずつ回まわってくるから、交互にしか呼ばれないのに、俺だけは毎回呼ばれて・・・。「俺はなんで研修医より働かなきゃいけないんだ!」って・・・。
菊地 はははは(哀)
真弓 だって、毎日、ほとんど緊急オペがはいるし・・・大変だったね。そういう緊急オペが立て込んで、3日間で8時間しか寝られなかったの。3日間で8時間! 

で、次の日もまた緊急オペで呼び出されて・・・。「もう、ちょっと勘弁してください。3日間で8時間しか寝てないから、違う先生呼んでください」って言ったの。で、翌日行ったら、部長先生から「お前、何考えてんだ!」と怒られて・・・。
菊地 はははは(哀)
真弓 だって、3日間で8時間しか寝てなくて、もうフラフラでさぁ、とてもこれはオペが出来る状況でなくて・・・それでも怒られた。
菊地 手術室で倒れなきゃ許してもらえないんですよ(冗)。
真弓 うん、そうね(笑)。

いやー、だけどその後、その部長先生が同じような状況になって・・・でも、その部長先生は意地でもちゃんとやってたね。
だけど、今になって医療安全という観点から考えたらねぇ、それは決して良いシステムではないし、まぁ、よくやってたなぁと思うよね。
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シリーズ 「いのちをつなぐ ひとをつなぐ こころをつなぐ」 の第四回目は、名古屋大学の真弓俊彦先生にご登場いただきました。