現実のERでは…誰かが突然死したとか、心臓発作だったらしいとかいう噂を耳にしたことがあるでしょう。その心臓発作で突然「いのち」を失いかねない病気の代表が急性心筋梗塞症なのです2)。そんな急性心筋梗塞症でも、病院へ無事にたどり着き、冠動脈疾患集中治療室(CCU)へ入院できれば、死亡率は10%以下なのです(図1)。 しかし、急性心筋梗塞症で死亡する人の半数以上は病院へ到着する前に生じているのです(図2)3)。 病院に辿り着く前に、意識がなくなって呼吸も心臓も止まってしまう、心肺停止状態になって、この状態で搬送されることになるのです。このとき、人気TVドラマ「ER」では、心肺停止状態で搬送された人の約60%が救命されているようです。スゴい救命率です。それを見ている一般市民は現実でも同じくらいに救命されると思ってしまいますし、期待もしているのです。 しかしながら、「現実のER」へ、突然に心肺停止となって搬送された人で救命されるのは、せいぜい5%程度にすぎないのです4)。 これまでの院外心肺停止の実態を読んでお分かりと思いますが、突然に心肺停止となって救命センターへ搬送されてくるのを待っていて行う救急診療では、限界があるのです。だから、院外で「いのち」を失いつつある人への対策が、第一に行わなければならない、最大の課題なのです。 |