『救急医療ジャーナル』106(2010年12月号)特別レポート

2.実用化を加速させた揺れや体動に強い心電計の登場

 同システムの開発がスタートしたのは平成14年。カメラ付き携帯電話がヒットし、誰もが気軽に携帯電話で“写メ”をやりとりし始めた年だ。

 「心電図のファクシミリ伝送では、搬送中のある時点での波形を送ることしかできません。リアルタイムで患者情報を得るよい方法はないかと模索していた頃、携帯電話で画像を手軽にやりとりできる技術が開発され、実用化されました。この技術を救急医療の現場でもぜひ導入してみたいと考えていたところ、吹田市長が我々のアイデアに理解を示され、協力を申し出て下さったのです。これにより、消防が業務として検証実験に参加することが可能になり、大きくはずみがつきました」と、野々木部門長は当時を振り返る。

 しかし、実際に救急車から送信実験を行うと、電波状況によっては受信できない地域があることが判明した。さらに、従来の心電計は、走行中の救急車の振動を拾ってしまい、データの精度が安定しないという問題も生じた。

図 救急車内の様子
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 「このような状況の中、突発的な振動や衝撃、患者の体動などによるノイズが発生しても正確な心電図波形測定ができる心電計『レーダーサーク』が登場したのです。しかも、この心電計は、胸骨圧迫中も心電図の測定が可能で、まさに救急車での傷病者搬送中の心電図測定にうってつけだったのです」(野々木部門長)。これにより、同システムは実用化に向けて大きく前進し、吹田市から世界に向けて新しい医療情報システムが発信されることになったのである。


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  1. 病院到着時に必要な情報を搬送中にリアルタイムで送信
  2. 実用化を加速させた揺れや体動に強い心電計の登場
  3. 視覚情報をプラスした新しいオンラインMCを実現
  4. 利用シーンの拡大が救急救命士の可能性を広げる