1) 発症から基幹病院までの時間の遅れを改善するため、一般市民、罹患患者、医療従事者へのアンケート調査を行い、問題点を抽出する。初年度からの2年間で、一般市民(n=1200)と一般内科医(n=1002)への大規模抽出によるアンケート調査を行い、発症時の救急車要請を行うとする回答は低率(11%)で、又医師からの救急車要請の指導も低率であった。啓発活動は市民のみならず医療従事者にも必要であることが明確となった。
2) モバイル・テレメディシン・システムを循環器救急医療の現場に導入し、救急車と受入れ病院を結ぶモデル地域を構築するため、吹田市において5台の救急車両に搭載し、国立循環器病センターとの12誘導心電図・バイタルサイン・動画電送を循環器救急症例に適用し、搬入までに確定診断を可能とし治療開始までの時間を短縮する試みを開始した。
3) 心原性心停止患者の生存率向上を目的とした簡易CPRやAED使用法の普及と救急システムの確立により、その効果を検証するためウツタイン様式による大規模臨床研究を続行中である。過去7年間のデータ解析を開始し、蘇生後治療の有効性を検証するための基礎データとした。
4) 急性心筋梗塞症の重症例(蘇生後)に対する低体温療法多施設登録システムとプロトコール作成し登録を開始した。成果を2008年米国心臓協会(AHA)学会で報告した(下記)。
1. Hiroshi Nonogi, Hiroyuki Yokoyama, Yoritaka Otsuka, Yoichiro Kasahara, Yu Kataoka, Mitsuru Abe, Nobuaki Kokubu, Kazuhiro Sase: Usefulness of Mobile Telemedicine System in real-time transmission of out-of-hospital 12-lead ECG
2.Satoshi Yasuda , Hirotaka Sawano, Hiroshi Hazui, Isao Ukai, Hiroyuki Yokoyama, Junko Ohashi, Kazuhiro Sase ,Akiko Kada and Hiroshi Nonogi, J-PULSE Investigators: High Rates of Survival to Hospital Admission in Patients with Shock-Resistant Out-of-Hospital Ventricular Fibrillation Treated with Nifekalant Hydrochloride: Report from J-PULSE Registry