
5 たった一つだけ注意が必要ですから
こんなに簡単な器械ですが、たった一つだけ、注意しなければならないことがあります。
それは、除細動ボタンを押す前には必ず「安全確認」をしなければならないことです。
大きな声で「離れて!」と言い、同時に離れるように手振りを付けます。
そして自分の目で周囲の誰もが傷病者に触れていないのを確認します。
これを、除細動ボタンを押す直前にその都度、必ず行います。
注意はたったこれだけです。

AEDは特別な状況で使用することもあります。
もともと心臓の病気を持っている方は心臓発作を起こしやすい、と誰もが思っていることでしょう。
心臓が悪いと言われている人は心臓の薬を内服したりしていますが、その薬の中に貼る薬もあります。
それを胸に貼っている傷病者には、剥がしてから電極パッドを貼ります。
その上から電極パッドを貼ると心臓に到達する電気エネルギーが弱くなってしまう、ということは誰もが予想できますし、火傷の原因になることもあります。
もし電極パッドを貼るときに、見える範囲に薬が貼ってあったら、剥がします。
皆さんの周りにはペースメーカを植え込んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
その方は胸部でも肩の付近に、とくに日本人は右ききが多いためその反対側の左肩の付近に植え込んであります。
ですから、多くの場合は電極パッドを貼る箇所とは異なっていますので、そのまま貼ればよいのです。
もし傷病者に電極パッドを貼ろうとしたとき、小さなゴツっとした何か小さな器械が体の中に入っている感じがあったら、そこから3cmほど離して貼ります。
また、傷病者の胸部が濡れていれば、誰もが電極パッドを貼りにくいと感じるように水気を拭いてから貼ります。
濡れたまま貼ると、皮膚の表面を電気が流れることになって、心臓に電気エネルギーが到達しないことになります。
傷病者が子供の場合はどうしましょう。
8歳未満、または25kg未満ではその電気エネルギーは多すぎるかもしれません。
ただ、子供は心臓発作で突然死することはほとんどなく、たいていは呼吸が止まってから心臓が止まりますので、除細動でなく心肺蘇生法が重要となってきます。
とはいっても、心臓が悪い子供もいます。そのときには子供用の電極パッドを使用します。

アメリカで認可されているものが、日本ではこれから認可されます。