第29回日本蘇生学会市民公開講座 「みんなでCPR」


2010年9月

獨協医科大学 心臓・血管内科講師 菊地研


みんなでCPRしましょう!

胸の真ん中を押す心肺蘇生法とAEDの使い方を学びます。スゴく簡単です。わずか30分で学べます。個別のマネキンを用いてDVD映像を見ながらCPRのトレーニングをするのです。楽しく学べますよ。参加してみませんか。

小学生もCPRのトレーニングを受けています。

もともと小学生も「CPRのトレーニングを受けたい」との気持ちを持っていました。CPRをよく知らない小学6年生と中学3年生の4割が「CPR講習を受けたい」と答えているのです。高校生になると7割に達します。ですが、これまでその機会がなかったのです。

栃木県真岡市と益子町の小学5年生にCPRのトレーニングを行いました。個別のマネキンを用いてDVD映像を見ながら一斉に実技練習をしました。上手にできるようになった生徒もいましたし、ある程度できるようになった生徒もいました。それは初めてのCPRトレーニングでしたし、口対口人工呼吸も教えたからだと思います。それもわずか45分の間にです。自分を振り返ってみて、初めてのことを45分間で習得できたことってあまりないですよね。補助輪をはずして自転車に乗れるようになるときも、プールで泳げるようになるときも、鉄棒で逆上がりができるようになるときも時間がかかりましたよね。そういうものです。練習を繰り返すことが必要なのです。練習を繰り返すことで、生徒たちは上手くなっていくのです。でも、初回のトレーニングでAEDの使い方は抜群に上手くできるようになりました。

終了後には、「使用した一式を持ち帰って家族にCPRを教えること」という冬休みの課題を出しました。生徒たちは、自分の両親、祖父母、兄姉に教えてくれました。中には弟妹に教えた子たちもいました。その母親からは「すごく良かった。子どもと一緒の時間が取れるし、親子で学べてとても有効だと思う」との感想が寄せられました。

さあ、みんなでCPRしましょう!

どうせなら大規模CPR講習会のギネス記録に挑戦してみませんか。2007年に台北で3,249人、2008年にノルウェーのオスロで3,692人、2009年11月にアメリカのダラス近郊(アーリントン)で4,626人、2010年3月にメキシコで約6,577人と、次々とギネス記録が更新されて、現在、世界の注目を集めています。今なら7,000人が一斉にCPRの講習を行うことで、ギネス記録を更新させることができます。栃木から世界へ発信をしませんか。

これは、みんなが参加できる心臓発作の救急システムが上手くいくようにするためでもあります。心臓発作は早期に適切な対応を行うことが重要です。突然死をきたす心臓発作の代表である急性心筋梗塞でも、早期に入院して適切な治療を受けることで95%は無事に退院できます。ところが、病院を受診する前に半分以上の方が突然死しているのです。栃木県内では年間1,000人の突然心停止が発生し、救命率は3%なのです。これに対しみんながCPRを行いAEDを使用すると、救命率が30%へと飛躍的に上昇するのです。

だから、みんなでCPRしましょう!

みんなでCPRする地域社会は、みんなが安心して暮らせるのです。健やかに安らいで穏やかに暮らせる、そんな地域社会を築けるように手助けしたいと思っています。みなさんも、できることから始めてみましょう。まずはこの市民公開講座に参加してみませんか。お待ちしています。

 
 

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