
件 名: 最近、ちょっぴりうれしい事がありました。
送信者: 菊地 研
送信日: 2005年1月
菊地研@岩手医科大学救急医学・高度救命救急センターです。
盛岡で11月にAHA BLSコースを受講された製薬会社のMRさんが、先日、心肺停止になった61歳男性を救命したのです。
そのMRさんが朝8時過ぎに会社の側の駐車場から車を出したときに、突然バターンと大きな音がしたので、そちらを見てみると、男の人が倒れていたのです。
近くのビルに勤務している方のようでした。
「えっ、まさか」と思って近づいてみると、意識がなくて呼吸がおかしかったのです。
すぐに携帶電話で119番をかけて、「心肺停止です」 と救急隊を要請しました。
その間、ポケットマスクを持っていなかったことから、心臓マッサージのみを行いました。
3分後には救命士が到着して直ちに除細動しました。
200Jの除細動を1回行っただけで、自己心拍は再開しました。
その数分後、当施設の救命救急センターへ搬送されたときには、意識レベルは清明でした。
循環器センターへ移ってから緊急冠動脈造影を行い、右冠動脈の慢性閉塞と左前下行枝の中等度の狭窄があり、やはり、心筋虚血が原因でした。
今後、虚血所見にはPCIなどが考慮されます。
さて、そのMRさんがその日の遅くにわざわざ私を訪ねてくれて 「先生に習っておいたおかげです。本当に助かってよかった。やっぱり慌てたけど、自信を持って心臓マッサージができました」 って言ってくれました。
本当に嬉しくなりました。
目に見えたBLSコースの効果でした。
将来的には当たり前のことになるのでしょうけれど、今は、本当に嬉しいの一言です。
菊地 研(きくち みがく)
岩手医科大学救急医学・高度救命救急センター