日本循環器学会(JCS)は本気です。


2007年10月18日 第195回栃木県臨床循環器談話会


日本循環器学会 循環器救急医療委員(心肺蘇生法委員からの改称)

獨協医科大学  心血管・肺内科 講師   菊地 研


日本循環器学会(JCS)は本気です。アメリカ心臓協会(AHA)が築き上げてきた「心肺蘇生(CPR)と救急心血管治療(ECC)」トレーニングプログラムを推進させていきます。

これまで循環器医は致命率の高かった急性心筋梗塞症へ挑んできました。カテーテル治療による再灌流療法を含めたCCUでの治療で、院内致命率を5%まで低下させ、地域社会へ多大な貢献をしてきました。しかしながら、急性心筋梗塞症による死亡の半分以上はCCUにたどり着く前に急死しているのも現実です。引き続き、地域社会に救命の連鎖(Chain of Survival)を確立させ、「地域社会そのものを究極のCCU」に構築したいのです。循環器医がその先導を担うのです。

2007年3月のJCS-ITC(International Training Center)設立を受けて、来年度以降の循環器専門医試験の受験要件になりました。その手始めに日本循環器学会の理事、監事などの学会役員の先生方がAHA ACLSプロバイダーコースを受講されました。


ガイドライン2005では、ACLSであっても、「早期かつ良質なCPR」が最も重要となります。薬剤投与は二の次、気管挿管は三の次になり、このような処置による胸骨圧迫の中断が最小限になるようにデザインされました。CPRを重視したうえで、除細動のタイミングや除細動波形とエネルギー量の組み合わせは最適化され、除細動はこれまでの3連続から1回へ変更されました。心室細動による心停止では、1回ショックをかけた後、ただちに胸骨圧迫から始まるCPRを再開します。ショック後にリズムや脈拍を再確認せずに、5サイクルまたは約2分間のCPRを行います。“Push hard, push fast.”に象徴される胸骨圧迫心臓マッサージが強調されます。この胸骨圧迫している様子が写真付きニュース・レターで学会員すべてにメール配信されましたので、学会員すべてが知るところとなっています。今後の循環器医のあるべき姿勢を示しています。

医師も、それ以外の医療従事者も、一般市民も、みんなが手を携えて「救命の連鎖」を繋ぐことができれば、かけがえのない命を救うことができます。日本循環器学会は本気です。本気ですが、日本循環器学会はそのきっかけを作っているに過ぎないのです。まさに地域住民の「いのち」は、あなたの「こころ」と「手」に委ねられているのです。


当ページは栃木県臨床循環器談話会事務局の許可を得て掲載しています。

 ガイドライン2005
ガイドライン2005
心肺蘇生法の胸骨圧迫対人工呼吸法の比率を15:2から30:2に改めるなど、従来よりも胸骨圧迫に注目した点が要諦です。心肺蘇生法ガイドライン2005年改訂の背景

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